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『DIGITAL MONSTER X-EVOLUTION:Another-X』
第一幕:【境界線】
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だけ左に離れた位置で、平然としている騎士の姿が在った。
…………白銀と紅蓮に彩られたその騎士の名は、“デュークモン”。
どうやら“焔の竜人”の剛拳を、命中する直前で回避したらしい。
が、それをガンクゥモンは一瞥して、視線を前に戻してしまう。
そして、背中越しに言葉を続ける。

「“ヒヌカムイ”への対応(レスポンス)が9ナノセカンドも遅いぞ。腑抜けたか」
「突然現れての開口一番がそれか…………」

一方的に辛辣な口調のガンクゥモンに、デュークモンは苦々しく返した。
ガンクゥモンの背では“焔の竜人”――――“ヒヌカムイ”がそれを見て、
勝ち誇るかのように牙を剥き出しにしていた。

「…………現役がこの為体(ていたらく)では、いつまで経っても(わし)が隠居できぬではないか」
「………………」

(さすが)に何か言い返してやろうかと言葉を吟味し始めたデュークモンだったが、不意にある事に気が付いた。

「…………そう云えば、今日は貴公1人か?」

言ってからデュークモンは、ガンクゥモンがいつも連れていた、1体のデジモンを思い出していた。

…………記憶(メモリー)に残っている印象として、あれは――――そう、小さな“白い竜”だった。
骨を連想させる白い外観に、体色とは対照的な赤いマフラー。
鋭い牙や爪は見る者に対して獰猛にその攻撃性を訴え、頭の先から尾の先端にまで、触れるモノ全てを
切り刻まんとする姿勢が見て取れた。
対照的に、その瞳は理知に富んだ色をしており、(いたずら)に暴力を(ふる)ったり、無闇に他者を
傷つけたりするような振る舞いは、決してしないだろう。

名は――――確か、“ハックモン”。

ガンクゥモン自らがそう銘打った、“次代の担い手”。

「珍しいな。彼とは一緒ではないのか?」
「最近、拾いモノをしてな。今は、其奴(そやつ)らに預けてある」
「…………拾いモノ?」

応よ、とガンクゥモンは答えた。

何処(いずこ)よりかは知らぬが、どうにも【旧世界】の方々を生き流れておったようでな。
偶さか通り掛った儂らが見つけて……………………で、拾った」

「発見から結果までの過程が丸ごと飛んでいるぞ。もう少し詳細を――――いや、待て」

デュークモンの声に、ふと苦味が篭った。
何とも表現しがたい、複雑な声音だった。

「…………ガンクゥモン。1つ訊くが」
「何だ。改まって」
「少し前に、【旧世界】の陸地1つが消し飛んだ異変があったのだが…………まさか、」
「察しが良いな。その折だ」

そう言い切ったガンクゥモンには、詫びの表情も、後悔の姿勢も無かった。
己が所業に、揺るがぬ自信があるからこその、言動であろうが。

「あの時、より
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