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悪来
4部分:第四章
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れい」 
 だが彼は言うのだった。
「拙者ならば一人でここを防いでみせます」
「典偉殿・・・・・・」
「して安民様」
 前を見据えながら彼に言ってきた。
「殿を御願いします」
「叔父上を」
「そうです。曹昂様がおられますな」
「はい」
 従兄弟は曹操の側にいる。彼の護衛も兼ねているのだ。
「御二人で。殿を安全な場所に」
「それでは」
「お逃げ下さい」
 彼はまた告げた。
「今のうちに。さあ」
「典偉殿・・・・・・」
「敵は待ってはくれませんぞ」
 これ以上は言おうとしなかった。言えなかった。何故なら敵達はもう目の前まで迫っていたからだ。ざっと見ただけで百人は超えていた。

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