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恋姫†袁紹♂伝
閑話―大計略の舞台裏―
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故郷の味を広めたい」

庶民にも手が出せる値段で売り出せば、たちまち大陸全土に流行するだろう。
 それにより莫大な利益が長期的に見込める。

「一番良いのは袁家で塩を生産する事だが……」

袁紹の頭に浮かぶのは揚浜式塩田と入浜式塩田による塩の製法、従来のやり方に比べ生産性を向上させるこの製法であれば塩は大量に作れる。
 しかし、塩の生産と販売は国が請け負っている。許可なしに生産に乗り出せば何を言われるか、最悪反逆罪に問われるかもしれない。

いっそ密造してしまおうか? と頭をよぎりそれを振り払う。目的のためには手段を選んでいられない場面もあるだろうが、己の矜持を大きく逸脱する事、臣下達に対して後ろ暗いことには手を染める気にはなれなかった。

「そうなると他の方法としては、安く融通してもらい――そうか!!」

その時、袁紹に電流走る。何も自分達で揚浜式塩田と入浜式塩田をやる必要は無い。
 国にそれらの製法を献上すれば良い。生産性が上がれば塩の値段は安くなるし、褒美として安く売ってくれるはずだ。

そこまで考え紙と筆を取り出し製法を書き連ねる。塩の製法を勝手に研究していたとしていくらか小言があるかもしれないが、その先にあるであろう利益の前では小事に過ぎない。

「……」

次々に妙案を編み出しながら書いていたが、気が付くと袁紹の手は止まっていた。
 
彼の心中を薄暗い靄が覆い始めていた。――もし、もっと早く今のように大陸にとって必要な何かを真剣に考えていたら? 隠す事無く未来の知識を晒してそれに対処していたら? もっと多くの人命が救えたのではないか、漢王朝の腐敗や、各地の不当な重税にも対処出来たのではないか――

『難しく考えすぎでしょ』

「っ!?」

筆を強く握り締め始めていた袁紹の中で、先日、猪々子が言っていた言葉が木霊した。

『今更それまでの事を後悔し続けても意味が無いって言うかさ』

『次はそうならないように気をつければ良いだけじゃん?』

「……そうであるな」

既に前を向いて歩き始めていたつもりだったが、未だ自分の中では後悔の念が強かった。
 だが猪々子の言葉を思い出し再び筆を走らせる。ゆっくりで良い。大事なのは止めない事だ――

後日、突然礼を言い出した袁紹に対して、猪々子は目を白黒させなかせらも、料亭の高級料理を端から平らげて見せた。

………
……


それから時が経ち荀ケが袁家に訪れた頃、袁紹はさっそく策を聞かせていた。

「ば……馬鹿じゃないの!?」

「フハハハハハ! 馬鹿ではないな、我がそうなっては不幸になる者が多い故!!」

「……」

そう言う問題なのか、と言うツッコミは置いといて、荀ケは袁紹の策に考えを巡らせる。
 
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