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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
第十九話
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 (ベル)は、自他共に認める小心者だ。エイナさんには「あれほど冒険するなって言ってるのにまたしたのかーっ!!」とよく怒鳴られるけど、それでも到達階層を更新する日には必ずエイナさんに相談してるし、徹底的と言えるくらいのスパルタ授業を受けてから望んでいる。過去の英雄が残した『逃げるというのは恥ずべきことではない。己の力量を弁えた勇ましいことである』と言う名句を胸に刻んでいる僕だけど、やっぱり未だミノタウロスに怯えている自分が勇ましいとはとても思えない。

 そんな僕に、近日サポーターとしてダンジョンを共に巡ってきたリリが11階層へ突入しようと持ちかけた。

 上層と定められる階級の中でも、とりわけ十一階層より深い階層は危険視されている。理由として挙げられる一番の原因は大型級モンスターが出現するようになるからだ。次に挙げられるのは十一階層より下は濃霧が立ち込めており視界の妨害が入るというもの。最後に迷宮の武器庫(ランドフォーム)と呼ばれる地形が見られるようになるからである。
 読んで字の如く、厄介な要素が追加される分初心者たる冒険者たちが抱え込む荷は増える一方。また濃霧に囲まれているせいで、いつモンスターが飛び込んでくるか解らない状況という精神的圧迫も半端ではない。殉職者が重なるのは頷ける道理だ。

 僕はすでに十階層まで足を伸ばしている。というか、十一階層への連絡路を目の前にしたことすらある。これはひとえにレイナさんが一緒にいたからというのもあるけれど、リリのサポートが適切だからソロでも十分攻略できる範囲内だった。
 ギルドが定めている攻略推奨は各基本アビリティはA〜B。今の僕は全項目が900台、つまりオールAなので規定をクリアしている。そうじゃないとエイナさんが笑顔のまま怒っている。
 片手で数えられる程度だけど、大型級モンスターと交戦経験も済ませている。濃霧にも慣れ始めた頃だし、対処方法も体得しつつある。

 だから十一階層に突入することに問題は無い。全く無い。
 だけど疑問はある。それはリリについてだ。

 リリのサポーターとしての腕は素人目から見ても文句の付けようのないぐらいで、僕としては何でこんな凄腕サポーターが爪弾きに遭っているのか解らないくらいだ。リリの腕を疑っている訳じゃない。リリの身の回りについて少し気になることがある。
 一度だけリリが冒険者に絡まれているのを目撃したことがある。加えれば、冒険者にリリを貶めようと共謀を図ろうと持ちかけられたことすらある。当然僕は拒否したけど、よくよく考えればこれはかなり異常なことなんじゃないかなって思う。
 巨大派閥に所属する有名な冒険者が闇討ちに遭うという話は小耳に挟んだことがあるけど、サポーターが闇討ちに遭うというのは聞いたことがない。僕でも解るけど、サポーターを
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