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ソードアート・オンライン 瑠璃色を持つ者たち
第五話 第一層フロアボス攻略戦
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翌日、ボス戦へと向かう一団の集合時間およそ五分前。
彼らは一様に高揚していた。高揚せずにはいられなかった。ほとんど強制的に。

そうでもしないと死への恐怖からこの場を立ち去ってしまいそうで。そうなれば、《最前線》から遠ざかってしまいそうで。

脅迫による高揚が場を支配する中、盾無しソードマンキリトは少し離れた位置で深いため息をこぼしていた。

「遅い……」

「彼、まだ来ないの?」

「俺に聞かないでくれ。連絡手段もないんだ」

「……そう」

事務的なフェンサーの質問の声には、ほんの少しばかり憤りが感じられる。昨夜キリトがやらかした事態も関係ありそうだが、それを考えるとまた細剣が飛んできそうだ。

時間に厳しいタイプなのかなぁ、と内心ボヤいていると、不意に肩をトントンと叩かれた。

「…………?」

背後を振り向くが誰もいない。というか、背後なんてほぼ壁だ。横から叩かれたのではないかと辺りを見回すが、やはり周りに人数が増えた気配はない。

「どうしたの?」

「いや、今肩を叩かれたような……」

「気のせいでしょ。誰も近寄ってきてないし」

事実、余り物パーティーであるキリトたちに近寄ってきたのはディアベルただ一人にしてそれっきり誰も近寄ってこない。
キバオウが一度こちらを睨んでいたのには気がついたが、話す気はないらしい。

好漢な雰囲気のエギルはパーティーメンバーと談笑に耽っている。その他諸々のプレイヤーたちも、自分のパーティーでおしゃべりに興じているのみだ。

ならさっき肩を叩いたのは誰なのか。まさか、幽霊的なアレなのか。
そんな思考を、キリトは頭を振って否定する。

ここはデジタルの世界だ。そんなオカルトなことあるわけない。

だが、ナニカを感じる。しかし、モンスターから発せられるようなものではない。これは、人間の愉快そうな視線ーーー?

「ワァッ!」

「キャァ!!」

「おわぁっ!?」

いきなり聞こえた大声に、キリトとアスナは悲鳴をあげる。
とりわけ、アスナは後ろから聞こえたせいか飛び上がりそうになっていた。

そのアスナの背後にいたのは、昨日ちょっとやらかしたリュウヤだった。

「アッハッハ!どうだ?驚いたーーーストップストップ!嬢ちゃん柄から手を離ぎゃぁぁ!?」

「あなたは!こんな時に!何をやってるの!?」

驚きに悲鳴をあげてしまった羞恥心と危うく遅刻仕掛けるほど到着が遅かったことに対する憤怒によって、アスナの流星のような突きがリュウヤを見舞う。ほぼ全力攻撃だった。相手はプレイヤーなのに。

「まままま待てってぇ!キリトさんこいつ止めてぇぇ!!!??」

「………」

「キリトさん!!??無視ですかぁぁ!?
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