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遊撃隊
3部分:第三章

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第三章

「では毒を渡しましょう」
「ではその毒を使用人に渡し」
「そのうえで」
「そうです。子爵夫人には急死してもらいます」
 公にはそうなることだった。実際に王妃は懐から小さな黒い瓶を出してだ。それを前に出て来た女官の一人に手渡した。そしてだ。
 その女官にだ。また話した。
「子爵夫人の後はです」
「その使用人達もですね」
「同じく」
「彼等にもまた急死してもらいます」
 口封じだった。明らかに。
「いいですね」
「それではその様に」
「致します」
「それとです」
 続いてだった。王妃は女官達にまた話した。
「宮廷の内外での話を聞かせて下さい」
「ではそのことも」
「お話させてもらいます」
 情報収集も怠っていない。王妃は女官達からそれも聞いてだ。
「わかりました。それでは」
「はい、暫し時間を置きですね」
「そのうえで」
「また手を打ちましょう」
 王妃はここでは悠然と述べた。
「それまではまた」
「わかりました」
 女官達は一斉に、しかも整然として王妃に一礼してだ。その前から悠然として姿を消したのだった。そうしたことが常であった。
 やがて王が死に国政は新王の母である王妃、王太后が握る様になった。すると尚更であった。
 女官達は暗躍を活発なものにさせてだ。遂には。
 多くの者が王太后の僕となっていっていた。政敵はほぼいなくなっていた。
 だがそれでも王太后は飽き足らずにだ。こう女官達に命じていた。
「今フランスは危機に直面しています」
 厳しい顔での言葉だった。
「ですからこれからはです」
「ユグノーですね」
 女官の一人がこの名前を出してきた。
「彼等がですね」
「その通りです」
 王太后もその女官の言葉に応える。
「彼等、新教徒は我がフランスにとって何か」
「神聖ローマ帝国やスペイン以上の敵です」
「無論イングランドよりも」
「まさに内憂です」
「内憂は取り除かなければなりません」
 政治的にだ。もう答えは出ていた。
 それでだ。王太后も言った。
「では次は彼等をです」
「とりわけコリニー提督をですね」
「監視しますね」
「必要とあらばです」
 最終的にどうするかもだ。既に答えは出ていた。
「わかりましたね」
「はい、それでは」
「その際は」
 こう話してだった。王太后はユグノー、そしてコリニー提督にも女官達を向けた。そしてこれがだ。恐ろしい惨劇につながっていくのだった。


遊撃隊   完


               2011・9・28

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