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超越回帰のフォルトゥーナ
ep-1─それは突然に舞い降りて
#04
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妙な郷愁を覚えながら、細かい説明を続ける。

「俺の《超越回帰》は剣を握ってからが本番だ。本当は何でもいいんだが、手になじむ武器の方が使いやすいからな。専用の剣を用意してあったんだが……軍部に徴収されないように、専門の鍛冶師に預けてあったんだ」
「専門の、ねぇ……もしかして材質が緋々色金(アダマンタイト)なのかしら?」

 その言葉を聞いたとき、レンは驚きに目を見張った。

「よく分かったな……ヒヒイロ鋼型の方だ」
「専用の武器で、専門の鍛冶師が居るって言ったら、私の知識で思いつくのはそのくらいだもの。それよりヒヒイロ鋼ってことはかなり熟練の鍛冶師なのね」

 緋々色金。ないしは、アダマンタイト。

 この世界において、『最高』の名をほしいままにする、最優の金属。薄く金色掛かった白銀の容貌をしており、産出される地域によって『ヒヒイロ鋼型』『アダマンティン鋼型』に分かれる。

 この金属の凄まじいところは、鍛ち手の思いのままにその形状を変化させられることだ。形。色。さらには切れ味に至るまで。

 その性質上、()つのにはかなり高いイメージ力が必要となる。そのため、緋々色金を鍛えられる人物は相当な数に限られる。おまけに『ヒヒイロ鋼型』の緋々色金は、その『自在性』が非常に高い反面、取り扱いも難しい(逆にアダマンティン鋼型の方は自在性はさほど高くないが、産出量が比較的多いため使いやすい)。扱うには相当な熟練度が必要となる。
 
 だがレンは、マリアのその問いにああ、と呟いてから否定の言葉を返した。

「アイツは熟練の鍛冶師じゃない。鍛冶師としての腕前は半人前以下だろうな。研磨くらいしかできないよ」
「へぇ? じゃぁ本当に預かっているだけってこと?」
「いや……アイツは、緋々色金の加工の時だけ、異常な才能を発揮する……天性の『アダマンタイト巧』だ」



 ***



「レン!? そうか、釈放されたんだな……おめでとう。二年ぶりか?」
「ありがとう。そうだな。お前も変わりがなさそうで何よりだ、リュート」

 レンとマリアがやって来たのは、商店街の中ほどにあるゴテゴテした一軒家。その一回のガレージは大きく開け放たれており、剣や盾、刀、槍、さらには鎌やフレイルと言ったマイナー武器に至るまで、大量の武器が床に並べられて居たり、壁につるされて居たり、棚に陳列していたりする。

 入口に立っていた水色の髪の青年が、近づいてくるレンに気付いたときの台詞が、先ほどのそれだ。大きく手を振って、その整った顔を笑顔で一杯にしている。

 青年の名前はリュート。職業は見ての通り鍛冶師。そして、この街……否、世界有数の『アダマンタイト巧』である。

「そう言うお前も変わってないじゃないか。まだ着てるんだな、
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