三十話 「信じてる?」鎖
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全てが終わった後。
「はぁ…」
綺麗な白髪の彼女は、ため息をついた。
『貴女のそのため息は何?』
私は質問した。
しかし私の声は届かない。
だって、もう死んでるから。
私の存在に気にせず、貴女はどこかへ歩いた。
私はする事がなかったのでついて行く事にした。
貴女は彼の黒いコートを揺らしながらゆらり、ゆらり、と歩いた。
その歩みは幼き子供を連想させた。
見ていて、嬉しくなるような…
私はただ、ついて行くだけだが。
不意に貴女は立ち止まった、
『どうしたの?』
私の言葉は届かない。
貴女が空を見ていた事がわかった。
私に気づいたのかしら?
空にも、地中にも、どこにも、私の姿はないけれど。
貴女は、再び歩を進めた。
私は貴女を指で引き止める。
だけどその無機質な私の姿は見えないし感じない。
体温すら無いからね。
私は文句など言わなかった。
だけど、貴女を止めたくなった。
だって貴女は、とても寂しいから。
子供が親に心配されないように隠し事をして、空元気を魅せるみたいだったから
だけどね、親はわかるのよ?
…私は親でもないけれど。
貴女の事を知っているから。
貴女は彼に救われたけど。
私は彼を護るから。
だけどね、私はただ、護っていたつもりだっただけだった。
その私が彼を殺すなんて…酷い話ですわ。
えぇ、何も通じないけどね
貴女は小幅で歩いている
『ねぇ、もうちょっと速く歩きましょ?』
しかし、貴女は俯いて、私の心は届かない。
貴女は水溜りに足を滑らせる。
ビチャッと水が踏まれ、映った貴女の姿は崩れる、
姿を持たない私は、そこには映らない。
その水溜りは、貴女の心。
揺らいで、砕けて、姿を無くし、
貴女の心は未だ直らない。
心の形は直らない。
貴女は心を持たないの?
まるで実験動物ね。
…ごめんなさい、私の心も真っ暗でまるで解らないわ
心は壊れているのかは、本人すら解らない。
だって心は客観的な感情だから。
私は捨て子だった私はそれを悟って生きてきた。
拾ってくれたのは…彼の父親。
そして、私も彼も結局死んで、貴女一人残された。
残酷ね、この世界は。
私の友人…いや上司は、私に語ってくれた。
この世界の残酷差を。
『幻想郷は全てを受け入れるのよ』
私はその言葉にこう返した筈だ。
『それはそれは残酷な話しね』
自重気味に笑った。
昔の話ではなく、今。
私は、可笑しくて可笑しくて、笑った。
私は何をしているのかしら
貴女について行けば、何
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