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ルターの結婚
2部分:第二章

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第二章

 だが、だ。それでもだった。
 彼はいぶかしむ顔でだ。ルターに話した。
「けれどですよ」
「けれど。何だい?」
「大抵の人が相手が決まりそうですけれど」
「それでもかい」
「はい、お一人だけ」
 決まりそうにないというのだ。
「どうしましょうか」
「ああ、彼女だね」
「はい、あの人です」
 また言う若い僧侶だった。
「どうしましょうか」
「ううん、誰もが幸福になるべきなんだ」
 ルターは腕を組んで難しい顔になって述べた。
「そうあるべきだから」
「あの人にもですね」
「そう、相手を見つけないと」
 そうしなくてはならないというのだ。
「誰かね」
「それでは誰がいいでしょうか」
「今探しているよ」
 彼女についてもそうしているというだ。ルターはあくまで公平だ。こうした辺りは流石と言えた。高潔な人物であるのは間違いないのだ。
 だが、だ。それでもだった。
 彼はだ。やはり難しい顔で言うのだった。
「誰か見つかればいいんだが」
「貴族や騎士の方に会ってもらっているんですね」
「そうしてもらってるよ。けれど」
「けれどですか」
「相手がね」
 項垂れてだ。若い僧侶に話す彼だった。
「うんと言ってくれなくて」
「そうですか」
「そう、どうしてもね」
 そうした意味でだ。相手が見つからないのだった。
「どうしたものかな」
「困ったことですね」
「これまで幾つか話をまとめてきたけれど」
 尼僧達が修道院を出た後のだ。結婚の話に他ならない。
「やっぱり中々決まらない人はいるよ」
「どうしてもですね」
「けれどいつも決めてきたんだ」
 そうしてきたと。ルターは若い僧侶に話す。普段は厳しい顔が今は心配する顔になっている。その顔になりながら話したのだった。
「だからあの娘についてもね」
「決められますね」
「絶対にね」
 ルターは諦めていなかった。こうしてだった。
 尼僧達の結婚の相手を見つけていく。その尼僧についてもだ。
 何とか相手を見つけようとする。しかしだった。
 彼女だけは見つからない。どうしてもだ。この事態にだ。
 若い僧侶は困った顔になってだ。ルターに相談した。
「あの、やっぱり」
「見つからないな」
「どなたもいいとは仰いません」
「いい娘なんだがなあ」
 ルターもだ。腕を組んで困り果てた顔になっている。
「とても心根のいい娘で」
「ですね。それは本当に」
「男は顔じゃない」
 まずはここから言う彼だった。そしてさらにだった。
 女性についてもだ。こう言うのだった。
「そして女も顔じゃないんだ」
「どちらにしても人間は顔じゃないですね」
「顔で全てが決まれば人間苦労はしない」
 ルターは人生的な言葉も述べた。

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