暁 〜小説投稿サイト〜
夜会
2部分:第二章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

第二章

「では支持して頂けるのですね」
「我々のことを」
「そのことを約束して下さるのですね」
「はい」
 その通りだとだ。イギリス側の一人が答える。彼等は宴の隅ではなく中央に近い場所で立って話をしている。しかしその彼等を見る者はいない。
 丁度宴の華やかさがそれを隠している形だった。その中で話をしているのだ。
 その中でだ。イギリス側はこうオランダ側に話した。
「我々は貴国の復活を支持します」
「最早ナポレオンはいなくなりました」
「それならばです」
「是非。フランスの支配から脱して下さい」
「有り難うございます」
 オランダ側はイギリス側の言葉を受けてだ。まずは安堵した。そしてそのうえでだ。彼等に対してこうしたことを話すのだった。
「では我々はです」
「貴国に対して御礼を差し上げますので」
「好意として受け取って下さい」
「いえ、それはいいです」
 ところがだ。イギリス側はこうオランダ側に言うのであった。
「我々は貴国に申し訳なく思っていますので」
「申し訳なく」
「申し訳なくですか」
「はい、そうです」
「そう思っていますから」
 それでだというのだ。
「ですから。御好意やそうしたものはです」
「いりませんので」
「いえ、そうはいきません」
「それは失礼にあたります」 
 オランダ側は必死の顔になってそれはどうかと返すのだった。
「貴国が動いてくれたからこそ今我々はここにいられますから」
「ですからです」
「何とか受け取って下さい」
 こうだ。何とかという顔で言うのだ。
「是非です」
「そうして下さい」
「そこまで仰るのですか」
 イギリス側は真面目な顔になってだ。そうして彼等に応えた。
「ううむ、そこまで仰るのならです」
「我々としても断る訳にはいきませんね」
「そうですね」
「では。是非です」
「受け取って下さい」
「そうして下さい」
「わかりました」
 イギリス側は応えた。こうして彼等の話はおおよそのことが決まった。そのうえでお互いに笑顔になって別れた。その後である。
 イギリス側はだ。宴の中を歩きながらこう話すのだった。
「これでいいですな」
「はい、オランダ側かわ見返りを得られます」
「我々としても狙い通りですね」
「まあ当然のことですが」
 こうした言葉も出た。オランダ側に話したこととは明らかに内容が違っていた。しかしそれを当然としてだ。彼等は話をしていた。
「血を流したのは我々ですから」
「彼等は敗れてフランスに併合されました」
「しかし我々が勝ち彼等は復活できましたから」
「それならばです」 
 見返りもだ。当然だというのだ。これが彼等の本音だった。
 そしてだ。オランダ側もだ。こう話をしていた。
 彼等だけになった
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ