3部分:第三章
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第三章
その顔でだ。戚継光に対してこうも言ってきた。
「では提督、早速港を」
「うむ、案内させよう」
こう話してだった。彼は商人に士官の一人をつけ案内させた。そのうえで自身は館に入り主だった部下達と共に次の討伐の話をするのだった。この話はすぐに終わったのだった。そして次の倭寇討伐の時にだ。
戚継光が兵達をそれぞれの船に乗せて倭寇討伐に向かう。だがその矢先にだ。
夜に船を進めているとだ。横からだ。
突如として銃声が響いた。鉄砲の音だ。
それで兵達からだ。悲鳴があがった。
「敵襲!?」
「まさか今か!」
「待ち伏せされていたのか!?」
士官達が夜の闇の中で口々に叫ぶ。
「まさかと思うが」
「ばれていたのか、今回の討伐が」
「それで待ち伏せをして」
「夜に襲って来たのか!?」
「信じられん」
士官達は驚きを隠せない。しかしだ。
倭寇達は鉄砲だけでなくだ。刀もあるのだ。その彼等の刀がだ。
討伐軍を襲う。小舟で近付く彼等は明の船に次々に乗り込みだ。士官達も兵達も斬っていく。それに対してだ。
戚継光は自ら剣を抜き指揮にあたる。伊達に倭寇討伐で名を挙げた訳ではない。彼は冷静だった。
「各船に告ぐ!」
「はい、提督」
「どうされますか」
「倭寇達には槍だ!」
それを使えというのだ。
「それで突いて海から落とせ!」
「海にですか」
「落とせというのですね」
「そうだ、落とすのだ」
討ち取るのではなくだ。そうせよというのだ。
「小舟は見つけ次第体当たりするのだ」
「そのうえで小舟を沈める」
「そうして倭寇ごと」
「乗り込もうとする者は槍で突け」
まただ。槍だった。
「とにかくだ。今は防げ」
「わかりました」
「それでは」
こうしてだった。彼等はだ。戚継光の指揮の下小舟に体当たりし倭寇達を竹を笹がそのまま付いたままで槍にしたそれで突き寄せ付けず海に落としていく。そうして何とか朝まで凌いだのだった。
だが朝になってみるとだ。多くの兵達が倒れていた。士官も多く死んだか行方が知れなくなっていた。海に落ちた者も多い様だ。
倭寇達は逃げ去っている。しかしだ。明軍の損害はあまりに多くこれ以上進むことはできなかった。戚継光も退くことを決意した。
だがこの失敗からだ。彼はこう言うのだった。
「やはりだ。漏れている」
「こちらの動きがですね」
「それが」
「そうだ。それにだ」
今彼等はあの館の中にいる。言うならば司令部である。堅固であり簡素な戚継光らしい館だ。その中の一室で卓を囲みながらその攻撃を受けたことを話すのだった。そうして戚継光は険しい顔でこんなことを言うのだった。
「敵の鉄砲だが」
「鉄砲ですか」
「それですか」
「敵は明らかに我々を待って
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