sts 06 「芽生えゆく焦燥」
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る!」
「仲良くなるのは良いことだが、この流れだと邪な考えがあるようにしか思えねぇぞ」
「あはは……まあ正直に言っちゃうとその考えはありますね。もっとショウさんのお菓子食べてみたいですもん」
「スバル、あんたね……」
「でもスバルさんの気持ち分かります。わたしもまた食べたいです」
「多分言えば作ってくれると思うよ。お菓子作りはショウさんの趣味みたいなものだし、近しい人には時々何もなくても差し入れとして作ってきてくれる人だから」
シャーリーさんの言葉に私を除いたフォワード陣のテンションが上がる。美味しいお菓子をまた食べられるかもしれないと思うと嬉しくもあるが、一応フォワードの中では私が最年長だ。というか、エリオやキャロはともかくスバルみたいにはしゃぎたくない。どう考えても私のキャラじゃないし。
「あ、それと……ショウさんってお菓子だけじゃなく料理も出来る人だから女の子達は将来のことを考えて習ってみてもいいかもね」
「へぇ……本当にショウさんって何でもできるんですね」
「本当にそうね。でもまあ一流のメカニックな上に凄腕の魔導師なんだから当然のことかもしれないけど」
私達の訓練に付き合ってくれているし、デバイスのほうも親身に見てくれている。良い人なんだとは思っている。けれど、どうしても苛立ちを覚えてしまう。
私とショウさんは違う。才能の満ちた人間が周囲に居るせいかつい比べてしまうけど、私はこれといった才能のない凡人。でもあっちは才能を持っている。騒がれていたのはきっと周囲の人の活躍が大きすぎるからだろう。私なんかとは違う……
「ようは天才ってことなんでしょうね」
そう言った直後、やけに大きな金属音が聞こえた。音を立てたのはヴィータ副隊長のようで、すでにケーキは食べ終わったようで小皿にはフォークが置かれている。
一瞬フォークを勢い良く置きすぎてしまっただけかと思ったのだが、ヴィータ副隊長から発せられる雰囲気は先ほどと違って穏やさがなくなっているように思えた。
「……あいつは天才なんかじゃねぇよ」
席を立ちながら放たれた言葉には確かな怒気が宿っていた。こちらに向けられている瞳も鋭く、思わず身が強張ってしまう。
「てめぇらからすればそういう言葉を言いたくなるのは分かるけどな……あいつのことよく知りもしないで口にするんじゃねぇ」
それ以上言うつもりなら容赦しない。
そう取れる怒った目をヴィータ副隊長は向けて、静かにこの場から去って行った。
「……ティア、どうしよう」
「どうしようって……」
「ヴィータ副隊長って午後の訓練にも参加するんだよね」
「…………私の発言が原因だろうし、あとでちゃんと謝っておくわよ」
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