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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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逃走
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強奪(スナッチ)クエストとは、ある特定領域内に手前の隠蔽などのスキルを使って忍び込み、指定されたアイテムなり物品を盗ってこいという、まあ極めて広義な上でのお使い系クエストの一種だ。

上手い具合に事が運べさえすれば、戦闘は起きないし、ゴタゴタも起きない。ドキドキはするが。

このクエストの難易度の付け方は大きく分けて二つある。

敵側の索敵能力の高さと、純然たる戦闘能力の高さだ。

前者の場合、攻略法は見つかりにくいようなルート――――例えば見回りの衛兵などのルートが被っていないエリアなどを狙い撃ちするか、ただ単純に己の隠蔽スキルを上げるという手だ。調べたり上げたりするのは面倒だが、地道にコツコツいけば簡単にクリアできたりする。

このパターンの場合、往々にして抜け道というのはしっかりと設定されているものなのだから。

しかし後者の場合、少し面倒なことになる。

索敵能力が低い代わりとばかりにバカみたいな数値を与えられている個々のステータス(または個体数)は、ありていに言えば裏をかけない。見つかったら逃げるしか道は残っていないのだ。

つまるところ、嵌まりやすい、ということだ。嵌まったら最後、なかなか抜けることができない。

泥沼のように。












そこからの行動は驚くほど速かった。

持ち出したもんが勝ちとばかりにがめつい根性を丸出しに、ほど近くにあった船の武器庫からSP達の武器を。更には何と、当の黒尽くめ達が乗っていた船そのものを利用しようと言い出した双子を止められる者はこの船上には残っていなかった。

彼らの乗ってきた、夜戦用に黒くペイントされた小型艇に乗り込み、おそらく見張り役か出迎え役だった四人の黒尽くめを軽くのしたレンとユウキは、物資強奪――――もとい調達組をのんびり待っていた。

今も《セントライア》の船底部の辺りから時折爆音と思しき轟音と震動が波間を揺らしているが、これだけ大きな船が完全に水没するまでにはかなりの時間を要するはずだ。

少年の背後、頭の上に《DEAD》カーソルをくっつけた男達の身体からめぼしい装備を剥ぎ取った後、海面に投げ捨てていた少女が思い出したように口を開いた。

「そう言えば、艦長室にいた敵って結局どーなるんだろうね?」

「一緒に沈むんじゃない?……まぁ、最後の抵抗とかいってこっちに来る可能性も否定できないから、一応ミナねーちゃんには言ってあるけど」

あのガサツそうなリラには絶対に任せられない、と言外に告げるレンに、それもそうだと思い直してユウキはくすりと笑った。

「レンは、装備はどうするの?」

ふとそう聞いてみると、少女にしか見えない少年は顎に手を当てて唸る。

「ん〜〜、それなんだよねぇ……。
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