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少年少女の戦極時代・アフター
After25 あなたにあげる
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 一番にクラックを跨いで駆け寄った咲だから、一番に見てしまった。
 全身傷だらけになりながらも、腕を大樹に、おそらくはクラックを開くために向けて倒れていた戒斗を。

 光実やヘキサはもちろん、紘汰や舞まで、戒斗の容態を見て蒼白になったほどだ。

 戒斗の全身の傷を紘汰が癒し、変身した月花がダイズアームズで強化アゾト爆弾を何度も戒斗に浴びせた。

 そこまでしても戒斗は目を開けなかった。

 しまいには咲は変身を解き、ひたすら戒斗を呼んで揺さぶった。

「ウソツキ! 死なないって言ったじゃない! ねえ、戒斗くん! 戒斗くんッ!」

 戒斗に触れた掌に感じる体温が、少しずつ下がっていく。

 ――もう、助からない?

 涙が。溢れて溢れて止まらなかった。フィクションならヒロインの涙でヒーローは蘇るのに。室井咲はヒロインではなく、駆紋戒斗もヒーローではなく、今この時はフィクションではない。現実だ。何もかも。

「駆紋さん、こんなとこで終わっちゃだめです。せっかく人としての未来を掴んだのに」
「あなたの遺体を持って帰ったら、ザックとペコがどれだけ怒ると思ってるんですか。僕、いやですよ。そんな損な役回り。だから起きろよ! 駆紋戒斗ぉ!」
「っ、紘汰くん、どうにかならないの!?」

 咲は泣き濡れた顔を隠さず紘汰に懇願した。

「黄金の果実でも、死んだ人間を生き返らせることだけはできないんだ」
「戒斗くん、まだ死んでなんかないもんッ!」
「咲ちゃん……」
「――、方法がないわけじゃ、ない」

 紘汰は苦渋を呈し、咲を、見つめ返した。

「ヒマワリロックシードに、咲ちゃんの成長エネルギーを込めて戒斗に与えるんだ」

 訳が分からずヒマワリの錠前を見下ろした。

「命が足りないなら外から補ってやればいい。咲ちゃんのヒマワリは、咲ちゃんが本来成長に費やすための養分を吸ってアームズに変えてる。その養分を、アームズ生成じゃなくて純粋な養分――命のカタマリとして、戒斗に与えるんだ」
「それは絶対に咲がやらなきゃいけないことなんですか? 葛葉さんが生命エネルギーを駆紋さんに注げばいいだけの話じゃないですか?」
「俺もそうできたらよかったんだけど……」

 紘汰は場の全員がよく知る人間・葛葉紘汰の姿に戻って、彼らが瞠目するものを見せた。

 左側の胴が、抉れて、なくなっていた。

 紘汰はすぐにトーガをまとい直し、抉れた部分を銀の鎧で隠した。

「ロード・デュークとやり合った時に、どてっぱら持ってかれた。あの対インベス用の矢で。今の俺には、怪我を治したりはできても、命一個を賄うだけのエネルギーはないんだ。この状態で創り出した戒斗は、『戒斗』じゃなくなる」
「高司さんも?」
「……ごめんな
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