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極短編集
短編69「僕はしゃべれる」

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 事の発端は、小学時代の公園での出来事でした。

「おじちゃん苦しいの?」

 横たわっている、汚らしいおじさんはホームレスでした。

「ああ、大丈夫だよ坊や」

 しばらく話ていると、近所のおばさんが警察を連れてやってきました。辺りには、あっという間に野次馬がいっぱいになりました。

「ホームレスが凍死だってね。死亡したのは一昨日だって!」

 そんな囁き声が聞こえました。
 その時、分かったのが、僕がしゃべってた人は、一昨日死んだ人という事でした。
 僕は死体と話せるようになりました。その代わり、生きた人とは話すのが難しくなりました。僕は一種のコミュニケーション障害だと自分の事を思っています。
 でもいいのです。何故なら、今の僕には沢山の友達が居るから。そう僕の部屋には、知らないおじさん、おばさん、優しそうなおじいちゃんおばあちゃんがいて、可愛い妹も出来ました。

「まあ、いつの間にこんなに沢山の人と知り合ったの!?」

 そして、生きていた頃は、全く話さなくなっていた両親とも、話せるようになりました。妹が言いました。

「お姉ちゃんが欲しい?分かったよ、じゃあ……」

 僕は妹の頭をなでながら言いました。だから今日は、家族になる為の準備をしようと思います。

「お兄ちゃんも前々から……



 あの子と家族になりたいと思っていた」

おしまい

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