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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
第八話
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 完璧な行方不明。確かにロキ様はそう言った。そして続けてやめておけと重ねて忠告してくださった。
 ロキ様がセレーネ様の話に触れた途端に感じた、あの寒気は何だったのだろう。いや解っている、ロキ様が私だけに向けて発した何かが私の心を脅かしたんだ。

 でも何でセレーネ様の行方をそんなに隠したがるんだろう? この言い方はおかしいか。何で行方を捜さないんだろう? 他の神様、特に親しかった神友ヘファイストス様も同様に知らないらしいし、本当にどうなっているんだ……。
 そしてロキ様から教えてもらった内容から、セレーネ様は失踪には二通りの可能性が推測できる。

 ひとつは他の神による策略。もうひとつは自ら周りとの関係を絶ったか。

 しかしこのどちらも、正直あまり可能性は無いんじゃないかと思っている。前者の場合、セレーネ様をオラリオから追放する時期があまりにも遅すぎるからだ。
 もし追放しようとするならば、それは他の神様たちがセレーネ様の存在を疎く思っていたはずだ。しかしセレーネ様は顔は広いものの、特にちょっかいや探りを入れていたわけでもないから、他のファミリアに目の敵にされることは考えられない。もちろん自由奔放な神様たちが()()()()()()()という理由だけで追放したという可能性は捨てきれない。どちらにせよ、そこまで大きく他のファミリアが関与したならば必ずどこかのファミリアがそれを知っているはずで、今やトップクラスのファミリアたる【ロキ・ファミリア】が知らないということは、そういった騒動は起こらなかったと考えて良さそうだ。
 そして後者は、クレア時代で最後に発現したスキル【転生】を目の当たりにしているから、余程の事情か私に会いたくないという理由で絶縁したと考えられるけど、あのセレーネ様が果たして自分の面影を完膚なきまでに処理してから去ろうと思うとは思えない。セレーネ様は料理は出来るけど掃除が出来ない神様だ、私と一緒にひーひー言いながら大掃除をしているのを覚えている。そんな神様が複雑に絡み合う情報郡の中でたった一つの情報を完全に抹消してのけるとは……ちょっと考えられない。

 結局、ロキ様の話だけではセレーネ様の行方を知ることは出来なかった。むしろ、謎は深まるばかりだ。ただ言い方が「解らないけど」ではなく「口を滑らせる」と表現したからには、何かしらの裏があるはず……。

 一体私はどうすればセレーネ様に会えるのだろうか。ただ漠然とダンジョンに潜り続けていなければならない、というのが私の予感だ。長年そういった経験をしているから、習慣みたいな感覚を勘違いしているだけかもしれないけど、確かにセレーネ様を探すのに神の恩恵、すなわちステイタスがあるには越したことは無い。

 はぁ……一週間に一度くらい、
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