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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第百十三幕 「油断するものを敗者と呼ぶならば」
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が。
くノ一は失念していた。ユウの向かった先に、誰がいるのかを。

「いいや、まだまだ粘らせてもらうさッ!!簪!手を!」
「うん!!PIC全開、スラスタ反転!!」

簪は待ち受け、ユウは躊躇いなくそこへ飛び込む。加速を解除したまま速度を殺さずに直進したユウの手が、待ち構えていた簪の手を握った。

「どっ……せぇぇぇーーーーーいッ!!」

そして、簪は――ユウをそのままジャイアントスイングの要領で回転させ、加速そのままに雷陰の方へと全力で投げ飛ばした。

「なっ、加速を潰さないまま反転ですってぇぇぇッ!?」
「潰す?違うよ、倍プッシュだッ!!」

反転と同時にユウは再びスラスタを爆発させて噴射加速。先ほどの加速にさらに加速を加えることで、その速度はさらに倍加。更に再びバリアを展開することで、その速度は既にISのそれとは思えない速度に達していた。
ここまでの速度になるとPICでのパイロット保護が――せっかく強化によって保護機能が増大されたのに、そのキャパシティを圧迫するレベルのGを消しきれなくなる。ある意味懐かしくもあるGと空気抵抗に全身を軋ませながら、ユウはもう一度攻性バリアを展開。

――外れても追跡する桜色の魔弾に変貌した。

「ただいまぁぁぁーーーーッ!!」
「えっ……あ、お、おかえり!……って言ってる場合じゃないッ!?」

慌てて照準を合わせ直すが、それは既に遅かった。簪とユウが反転した場所は、ユウが踏出加速をしたよりも更に近い位置。更にはユウの速度は最初よりも増加していると来たものだ。つまり――単純に他応する時間がない。

「受けて見ろ!!これが貴方が腰抜け呼ばわりした男の……反撃の狼煙だぁぁぁぁぁあああッ!!!」
「――ガフぅッ!?」

今度こそ――風を掻き斬るユウの猛脚が、くノ一の雷陰のどてっ腹にめり込んだ。
絶対防御で打ち消しきれない、内臓を抉るよう名凄まじい衝撃が、くノ一の顔を驚愕に染め上げる。

「おぉぉぉぉぉ……りゃぁぁぁああああッ!!」

咆哮を上げながらバリアの反射力と蹴り飛ばしを重ねがけした吹き飛ばしをモロに受けた雷陰は、為すすべなく海へと吹き飛ばされた。
確かな手応え――最低限のノルマは、確かに叩き込んで達成した。

「……借りひとつ。簪の手は借りたけど、返したよ!」
「これが、私とユウの、友情コンビネーション……!」

直後、吹き飛ばされた雷陰が海に落下して、どぉぉぉぉぉんッ!!と、巨大な水柱を上げた。
 
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