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歌集「春雪花」
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 蛙 鳴き

  たれそ呼びたる

   初夏の香の

 匂い留めし

    君 想いける



 田植えの始まった田には、あちらこちらで蛙が鳴いている。
 一体誰を呼んでいるのだろう…そんなことを考えていれば風がそよぎ、辺りに初夏の香りを運んでくる。
 去年も同じ匂いを感じたけれど…今年は彼がいないのだな…。



 日を見らば

  笑いし君ぞ

   浮かびたる

 いと胸痛まば

    切に会いたき



 朝日が昇りゆくのを見ると、彼の笑顔を思い浮かべる…。
 そうすると、チクリ…と胸が痛み、どうにも会いたくて仕方なくなってしまうのだ…。




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