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恋姫†袁紹♂伝
第10話
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帰って来た袁紹に、当主就任を前にして悪い知らせが入った。 楽しみにしていた妹との初顔合わせが見送られたのだ、原因は妹の母親とその周りの者達にあった―――

 袁術の母親は袁逢の正妻であり、妾の子である袁紹を毛嫌いしていた。又、袁術が生まれるや否や袁家当主は正妻である自分の子こそが相応しいと主張しだしたのだ。
 そしてそれに袁家内の反袁紹派の(後ろ暗い事に手を染めていた)者達も賛同し、少数ではあったが日に日に声が大きくなっていき、当主就任のこの時期に起きたこの騒ぎに頭を悩ませた袁逢は、娘の周りの者達を納得させるために荊州の太守とし、母親を始め袁術派の者達をまとめて送り出した。
 また、齢三歳にも満たない袁術に太守としての仕事は出来ないため、当時袁家で優秀と評判だった文官の張勲を補佐として(実質太守代理)つける事で騒ぎを収めた。

 政務のみならず幼い袁術の教育と周りの反袁紹派の懐柔、粛清も張勲に任せてあるため、袁家当主として落ち着いたらその時兄妹で力を合わせよとのことだ。

………
……


そして遂に当主に就任した袁紹には様々な問題が舞い降りた。 その中でも顕著なのが私塾に向かう前に彼が提案した政策の数々だ、

まず、関税緩和による流通活性化を目的とした『楽市楽座』は、行商人や旅人の訪問が多くなり目論見通りの結果となったが、訪問者が増えすぎたことにより治安が大幅に悪化した。
 これには当然、袁逢や袁隗を始めとし重鎮達が事の収束に当たろうと巡回する警邏隊の増員を手配したものの、
それでも尚広大な南皮には焼け石に水のような治安効果しか出せず、頭を抱えていた。
 この問題に対し袁紹は、ただちに南皮の各所に警邏所(所謂交番)を配置、一定の人数を交代制で決められた区間を巡回警備させることで南皮の細部まで警邏の目を行き届かせ治安を回復させた。

次に刈敷や草木灰を使った肥料だが、使い始めの頃は量の調節を間違え作物を駄目にする事があったらしい、その後はきちんと量を測り使っているので作物の生産性と質は向上した。

そして千歯扱き、意外なことにこれが一番難しい問題をのこした。稲や麦の脱穀は以前まで棒で叩いて行っていたため、かなりの重労働で時間もかかっていた。その為、作業率の向上を目的として作り上げたが……、結果仕事がなくなる人々が多数でることとなってしまった。
 これに対し袁紹は職業斡旋所と私服警邏隊を設立、彼等の仕事は日常に溶け込み、その中で見つけた犯罪を警邏隊に報告するというもの、その情報により犯罪が取り締められた場合、規模に応じて賞金が支払われる。
 職の見つから無い者達はこの私服警邏隊に組み込んだ、また、犯罪を見つけられなくても一定の給金が支払われた。
これにより巡回警邏隊の目を盗んで行われる犯罪のほとんどが検挙され、
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