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恋姫†袁紹♂伝
第10話
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袁紹は苦笑しながら、頭をたれる彼女を観察する。そしてその時荀ケは

(さっきから私をいやらしい目で観察してくるのよね、どうせ言葉の意味にも気付けなかっただろうし、ここの政策に適当に難癖つけて、覇王の器でありながら傾国の美女とされる憧れの曹操様の許に行かなくちゃ!)

とても口に出来ないほど失礼な事を考えていた。

「面を上げよ」

「はっ」

ゆっくりと顔を上げる荀ケ、しかし袁紹と目を合わせる様子は無く、その目から嫌悪感は消えていなかった。

「よく来てくれた我はお前を歓迎する――、と言いたい所ではあるが一つ聞きたいことがある」

「何なりと」

(私の才を量る問答かしら?何にしても所詮男の――)

「お主が男を嫌う理由は何だ?」

「っ!?」

ざわっ、と謁見の間は騒然としだした。そして当の荀ケはさすがに予想外の質問だったらしく目を白黒させている。

(い、いきなりなんて事を聞くのよこれだから男は!?この状況でその質問に答えられるわけないじゃない!!)

「い、いえ私は別に――「申せ」っ!」

何とか場を取り持とうとした荀ケだが袁紹は彼女の言葉を遮り答えを促す。

「お主ほどの才女が無意味に男を嫌うとは思えぬ、我はその理由が知りたい。
 もう一度聞く、―――男が嫌いか?」

「……いえ」

袁紹の質問に対し遅れながらも出た否定の言葉、これには重鎮達も安堵したが――

「大っっっ嫌いよ!!」

『 !? 』

荀ケの突然の変貌に彼女と袁紹を除く皆の目が見開かれた。
 そして取り繕う仮面を脱ぎ去った荀ケは叫ぶように語りだす。

「男なんて、臭いし汚いし馬鹿だしすぐ欲情するし無能なくせに人の上に立ちたがる……まるで猿、そう猿よ!!
 私が『今まで』見てきた男は女の尻を追い掛け回すしか能の無い猿しか居なかったわ!!」

『……』

荀ケの男全体を罵倒した言葉に皆が沈黙し

「フッ、フハハハハハ!!」

袁紹は高笑いした。

「な、何よアンタ!?罵倒されて笑うなんてまるで変態じゃない?これだから男は――「オイ」ヒッ!?」

そんな彼になおも罵倒の言葉をぶつけようとしたが、殺気を出しながら一歩前に出た猪々子に遮られた。

「良い猪々子、下がれ」

「……」

その言葉に従い大人しく下がる、良く見ると斗詩を始めとした重鎮達も殺気立っている。

「な、何よ今度は脅そうって言うの!?」

気丈に振舞う荀ケであったが、肩は小刻みに震え瞳は恐怖に揺れていた。

「フハハすまぬな荀ケ、我が家臣達を馬鹿にされるのを許さんように、彼等も我に対する暴言は許せぬらしい。
 此処に居る間生きていたかったら言葉は選ぶようにするがよい」


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