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マンホールの中
6部分:第六章
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第六章

「それを食べてるんですよ。ステーキとかにして」「
「鰐のステーキ」
 昇はそれを聞いて少し興味深そうな顔を見せた。
「何かよさそうかも」
「ああ、宜しければどうぞ」
 また笑顔で話すマンホール人だった。
「御馳走しますよ、是非」
「あっ、食べさせてくれるのかよ」
「ええ、御二人共」
 マンホール人は翔に対しても言ってきた。
「宜しければどうぞ。他には茸もたっぷりとありますよ」
「よし、じゃあ御言葉に甘えて」
 昇は満面の笑顔でその話に乗った。
「そうさせてもらおうかな」
「ええ、どうぞ」
「それで翔」
 今度は昇が彼に声をかけてきた。
「御前はどうするんだ?」
「俺か」
「そうだよ。やっぱり鰐のステーキ食べるのかよ」
「そうだな」
 彼は昇の言葉にあらためて考える顔になった。
「悪い人じゃないしな。言葉に甘えるか」
「よし、じゃあそれで決まりだな」
「そうですね。それじゃあ」
 マンホール人は満面の笑みのまま二人に告げてきた。
「私の家にどうぞ」
「よし、それじゃあ」
「甘えさせてもらう」
 こうして二人は御馳走になったのだった。その鰐のステーキも茸や草もとても美味かった。鼠もだ。二人はそうした食べ物を心ゆくまで堪能しそのうえで。彼等の世界に変えることになった。
 もう結構時間が経ったのにそれでもだった。世界は明るいままだ。翔はそれを見て今度は彼等を帰り道にまで案内してくれている親切なマンホール人に対して尋ねるのだった。
「ここは太陽はないな」
「はい、そうです」
 マンホール人もそれは認めた。
「地下の世界ですから」
「ではどうしてこんなに明るい?」
 いぶかしむ顔で問うた言葉だった。
「この中は。地下だというのに」
「おお、いいところに気付かれましたね」
「あっ、そういえば」
 ここでやっと昇も気付いたのだった。
「この中って随分明るいな。どうしてなんだ?」
「それはですね。ヒカリゴケのせいですよ」
「コケか」
「はい、それです」
 マンホール人はまた笑って話すのだった。
「それがこの世界を照らしてくれてるんですよ。昼も夜も」
「じゃあいつも明るい世界なんだな」
「そうなるな」
 昇と翔はそれぞれ話す。
「何か地下にあるっていうのにな」
「意外、いや信じられないな」
「ですが実際にこうして明るいですよね」
 マンホール人はまだ信じられないといった顔の二人に対してまた話すのだった。
「そういうことですよ」
「何か別の世界にいるみたいだ」
「はい、別世界です」
 今度の昇への言葉はこれであった。
「この世界は別世界ですから」
「そうなるな」
 そしてそれに頷く翔だった。
「やっぱりな。この世界は」
「おわかりになられまし
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