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劇場版・少年少女の戦極時代
鎧武外伝 斬月編
ウィステリアは確固として
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 藤果は施設の“実験室”に繋がる階段を転げ落ちた。埃まみれの床に、長い髪が散らばった。

(本当に甘い人)

 たったさっきまで藤果はイドゥンとして貴虎と戦っていた。
 敗れた藤果に、貴虎はトドメを刺さずに去った。「二度と沢芽市に近づくな」とだけ告げて。

(どうしてあんなに優しい人が、呉島の運命を背負わなければならないの)

 いたわしい、半分でも背負ってあげたい。貴虎にそう言った心に偽りはなかった。
 だが、彼はよりによって呉島の長男だった。

「うぅ……!?」

 その時、藤果の全身の神経を、まるで何百匹も蛇が這っているような痛みが襲った。

「あーあ。やっぱりそうなっちゃうか」

 降ってきた声は、戦極ドライバーの受け渡しのために、数度だけ会った男のもの。

「っ、戦極、凌、馬……」
「それはまだ私が天樹氏の下にいた頃、初めて完成させたロックシードだ。ま、ヨモツヘグリ同様、失敗作に過ぎないんだ。思わぬ形で実験できた」

 藤果は目を瞠って、転がるリンゴロックシードを向いた。
 クラックさえ自在に操ったこれが、失敗作?

「さて。私は医者(ほんしょく)じゃないが、私の目から見てももう君は助からないね。最期にいいことを教えてあげるよ」

 凌馬は愉しげに階段を下り、中段で止まって手摺にもたれた。

「もう会ったかもしれないけど。天樹氏の実の娘、呉島碧沙。あの子はね、ヘルヘイムの侵食を受けない体質を持つんだ。あの子を解剖すればあるいはヘルヘイムに侵された自分が助かる術を見出せたかもしれないのに、天樹氏は娘をこの施設には入れなかった。その他大勢の子供はここで切り刻んだのに、娘にだけはそうしなかった。それが何を意味するか分かるかい?」

 藤果は凌馬の言葉の意味を咀嚼し、歪んだ笑みを零した。

「だったらやっぱり、私があの男にしたことは間違ってなかった」
「そうかい。ならもうこの世に未練はないね」

 凌馬が開錠したのはレモンのエナジーロックシード。凌馬がそのロックシードを、貴虎が使っていたのと同じドライバーにセットし、変身した。レモンの鎧をまとった青いアーマードライダーへ。

「悪いけど、あなたのおかげで新しい未練が出来た」

 藤果は両腕と両足に最後の力を入れ、立ち上がり、リンゴの錠前を開錠した。

「変身」
《 リンゴアームズ  Desire Forbidden Fruits 》

 真紅の林檎の鎧が藤果を再びまとい、イドゥンへ変身させた。

 切り刻まれた同類(きょうだい)の末路を知った時から、この命は呉島への復讐に費やそうと決めていた。
 決めたはずなのに、朱月藤果にはできなかった。それはきっと――

 青いアーマードライダーが弓にロックシー
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