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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
本気で殴り合う
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「呼び出して悪かったな、十六夜。」
「気にすんなよ、どうせ今日は何もなくて暇なんだ」

一輝が十六夜をぶん殴ろうと決意した日から数日がたったある日、一輝は十六夜を自分の部屋に呼び出していた。数日を待ったのは、十六夜が参加するゲームのないオフの日を待ったためである。その間にも、十六夜は彼らしくもないミスを連発している。

「それで?何の用事で俺を呼び出したんだ?」

彼は床に胡坐をかいて座り、椅子に座っている一輝に向けてそう問いかける。そんな彼は笑みを浮かべてはいるのだが、それは無理矢理にいつも通りでいようとしているのが目に見えていた。まあ、今の十六夜が一輝と正面切って話をするのだから、こうもなるだろう。

「ん?いや、別に大した用事じゃねえよ」
「それならわざわざ部屋まで呼び出さなくてもよかったんじゃねえか?」
「いやいや、さすがにそういうわけにもいかないんだよな・・・ほら、そんな目立つところでゲーム盤展開するわけにもいかないだろ(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)?」
「・・・は?オマエ、何言って」

十六夜の発しようとした言葉は、しかし次の瞬間に広がった光景によってさえぎられた。
一瞬視界の全てが歪んだと思ったら、目の前に広がるのは夜。広がる闇の中、空からさす月の光だけがその空間に明るさを与えている。
十六夜は急に変わった世界に驚き、立ち上がって周りを見回す。そうして、ここがなんであるのかを理解した。
まず彼の正面、一輝の背後にあるのは一つの社。阿吽二対の狛犬が置かれ、その先には神の住まう社がある。
そして次に彼の背後にあったのは、長い階段の先にある神社の入り口たる鳥居。石で造られたそれの上には、おとろしという名の妖怪が乗っている。
その他にも鳥居から社までの参道があり、注連縄の巻かれた太い樹があり、龍を模した像から水が流れる手水舎があり、その土地の全てを囲むように鎮守の森が。
それだけならまだ理解しきれなかったかもしれないが、この空間は普通ではなかった。まず怪しげな霧が立ち込め、最後にさまざまな小妖怪が彼らを見張るように、もしくは何か面白いものでも見るように取り囲んでいる。すなわちこれは、

「・・・まさに、オマエのゲーム盤ってわけだ」
「そういうこった。どうだ、いかにも俺っぽいだろ?」

確かに彼の言うとおり、この場は・・・神社という場は、彼が生まれ育った場所であるからこそ彼のゲーム盤としてこれ以上の場所もない。

「それで、だ。なんでここにお前を招待したか、なんだがな・・・」

そう言った次の瞬間、一輝は十六夜の視界から消え・・・横から、十六夜を殴り飛ばした。

「ガッ・・・一輝、テメエ何を、」
「気に入らねえからぶん殴った。ただそれだけだ」



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