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詩集「棘」
淋しい月へ

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月 一つ 藍の空
宵深く 沈む
そっと堕ちゆく心
抱くものはいない

思いの丈 伝える術いずこ…?
桜 舞い落つ刹那
無垢な幻 垣間見た

淋しい月へ そっと囁く
愛した人と生きてみたい
月は黙して語らずに
光 静かに放つだけ


暁に浮かぶ月
光は霞み消え
不意に訪れる痛み
優しきものはない

想い知る 己の脆弱さ
見えぬ真昼の月
哀しい想い 連れてくる

淋しい月へ そっと呟く
恋しい人は 今いずこ
想いに耽る 侘しさに
一人静かに 立ち竦む

何も見えなくなってしまえ…
何も聞こえなくなってしまえ…
ah…消えてしまえ…

淋しい月へ そっと囁く
愛した人と生きてみたい
月は黙して語らずに
光 静かに放つだけ…




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