第四章
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「肝心のやつはな」
「いないな」
「アゲハか」
「ライドブルーに赤と黄色だよ」
この三色の配色だというのだ。
「羽根はな、身体の色は黒でな」
「目立つ色だな」
「こうしたアマゾンタイプのジャングルは目立つ配色の生きものばかりだけれどな」
ヤドクガエルなりサンゴヘビなりだ、ジャガーやオセロットもだ。もっともどの生物も警戒色なり保護色である。
「蝶にしても」
「ああ、だからな」
「探してはいるんだな」
「そうだよ、けれどな」
それでもだった。
「何かな」
「いないか」
「まだな」
「花を見たらどうだ?」
ムガジは蝶の多くが花に寄る習性からこう提案した。
「そうしたらどうだ?」
「そうだな、花だな」
「ジャングルだから花も多いぜ」
「植物学の連中も大勢来てるしな」
「ああ、だから花もだよ」
「見るか」
ハジャカもムガジのその言葉に頷いてだ、そしてだった。
彼はジャングルの中の花達もチェックした、そうして調べていると地球にアマゾンにはない種類の花も発見された。
それはラフレシアだ、そのラフレシアを発見して」植物学の面々が驚いて言った。
「これはまたな」
「意外な発見ですね」
「まさかラフレシアがあるなんて」
「しかも長い間咲いているみたいで」
「いや、これは」
「大発見ですよ」
こう話すのだった、そのラフレシアの周りに集まって。生物学の面々もその中に加わってその異形の大輪を見ている。
勿論ハジャカもだ、彼はラフレシアを見つつムガジに言った。
「アマゾン系のジャングルにはな」
「ああ、普通ないからな」
ムガジもこう答える、神妙な顔で。
「これは凄い発見だぞ」
「本当にな」
「匂いも凄いな」
ラフレシアは匂いも有名だ、その匂いもなのだ。
「これがな」
「相当だな」
「腐った肉の匂いだ」
「そのままな」
「これはきつい」
見れば誰もが異臭に顔を顰めさせてもいる。
「大発見にしてもな」
「全くだな」
こうも話すのだった、そしてここで。
ラフレシアに蝶達が集まって来た、その蝶達こそだ。
ライトブルーに赤と黄色の配色のアゲハだった、しかも身体の色は黒い。そのアゲハ達を見て今度はだった。
ハジャカがだ、小躍りせんばかりにして言った。
「おい、これだよ」
「あのアゲハか」
「この星にいるっていう」
「それか」
「ああ、間違いない」
まさしくとだ、ハジャカは興奮してまた言った。
「これはな」
「ここで出て来るなんてな」
「そのアゲハが」
「ラフレシアだけじゃなくて」
「アゲハまでなんて」
「これまた大発見だぞ」
また言ったハジャカだった。
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