第一章
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死蝶
その星は熱帯だった、その陸地の殆どが密林に覆われていた。
その星に来てだ、ンガモ=ハジャカは研究仲間にぼやいて言った。
「凄い星だな」
「ああ、暑くてな」
「雨も多くて」
「星の殆どが海と川とジャングルだ」
「本当に熱帯の星だな」
仲間達もこう返す、彼等は今はそのジャングルの中にいる。密林の中でのフィールドワークに合っている二十世紀以来の探検隊の服だ。
勿論ハジャカもその格好だ。彼は自分の濃い青の目で自分の褐色の肌を一旦見てから言った。
「虫も多いな」
「おいおい、虫除けスプレーはかけてるよな」
「それはちゃんと」
「してるよ、熱帯で虫にやられたら」
それこそというのだ。
「アウトだからな」
「ああ、蚊に刺されてもな」
「蠅にも気をつけないとな」
「そこからどんな病気になるかわからないからな」
「それこそな」
「前の調査隊は大変だったらしいな」
ハジャカは仲間達にそのことを尋ねた。
「確か」
「ああ、死人は出なかったけれどな」
「もう猛獣だの虫だのにやられてな」
「相当だったらしいわ」
「成果はかなりだったけれど」
「そうだな、それで俺達は再度の調査で来たけれどな」
ハジャカは今度は周りを見つつ言った。
「ここはな」
「凄い星だな」
「新たな開発、開拓候補の一つだけれど」
「こんなにジャングルが多いと」
「しかもこの気候に生態系だと」
熱帯独特のそれの中でもかなり過酷だからだ。
「人が住むには難しいか?」
「地球のアマゾンより酷い」
「生態系はアマゾンより遥かに過酷で」
「特に昆虫が」
「もう凄いなんてものじゃない」
それで人間の居住には適さないのではないかというのだ。
「住もうと思えば住めるにしても」
「ジャングルのかなりの部分を開拓しないと」
「それでも地盤が緩そうな場所が多くて」
「この温度の部分的な改善も難しい」
「これはな」
「人が住みにくい星ね」
「どう考えても」
探検、惑星探査の為にそれを行っている彼等はこう結論を出そうとしていた。その綿密なフィールドワークの結果。
「猛獣も多い」
「海や川にも危険な生物が多いとなると」
「猛毒を持った生物もかなりの割合だ」
「これだとな」
「そうだな、この星は駄目だ」
ハジャカも苦い顔で言うのだった。
「開発、開拓にはかなりの労力が必要だ」
「予算もな」
「そこまでしなくても他に星がある」
「だからこの星は」
「開発、開拓の順位はかなり後ね」
「Fランクか」
開発、開拓の優先順位はそれ位でないかというのだ。
「それ位で」
「他にもいい星が幾らでもあるし」
「ここまで凄いジャングルばかりだと」
「かなり」
「移住
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