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豹頭王異伝
曙光
遠征準備
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族を護る為に立ち、竜王を名乗る黒魔道師に抵抗する者達も多い。

 アモンを倒した後に俺は中原各国に檄を飛ばし、キタイ解放の戦いを始める心算だ。
 パロ魔道師軍団の主、アルド・ナリスも同意している。
 イシュトヴァーンも今回の負傷を経て、敵の力を理解した筈。
 ゴーラ、クム、草原諸国、沿海州諸国、中原各地の自由都市に至るまで使者を出す。
 カメロン殿にも賛同を賜り、キタイ全土の解放に向け準備を進めたいと考えている。

 パロを襲った異常事態を根本的に解決する為には、諸国の大同団結が必要とされる。
 キタイの民を救い、竜の門の恐怖より解放しなければならぬ。
 竜の騎士を実見し脅威を肌で感じた者は皆、賛同してくれている。
 ケイロニア軍も単独では打ち破れぬ故、是非とも御協力を願いたい」
 誠実な海の男は剛い光を放つ瞳を煌かせ、深々と頷いた。

「友よ、御心配は無用です。
 真摯に語る友の言葉を疑う程、私は愚か者ではない心算だ。
 以前に、言いましたね。
 グイン殿を友と呼ぶ機会に恵まれたからには、何としても幸運を死守すると。
 私は、友を裏切らぬ。
 ゴーラ王国は全面的にケイロニア王グイン殿を支持し、キタイ解放の戦いに協力する。
 イシュトヴァーンにも、文句は言わせぬ。
 カメロンの名に掛け、何としても説得して見せますよ」
 漢の確信に満ちた断言を受け、豹の顔が綻んだ。

「カメロン殿、誠に忝い。
 イシュトヴァーンを説得の必要は無い、アルド・ナリスに任せれば良い。
 俺は彼を信頼している、提督と同様にな」
 海の快男子は莞爾と微笑み、剛毅な瞳を煌かせた。

「グイン殿が信頼する、と断言している以上は何も問題は無い。
 イシュトを説得して見せる等と大見得を切らず、余計な心配は止めて丸投げします。
 代わりといっては何だが、私に出来る事があれば何でも仰って下さい。
 もっとも今の私は、陸に上がった河童ですがね。
 ユディウス殿の協力を得て、旧ユラニア領は安定しています。
 彼の献策してくれた数々の施策は実に適切、真に効果的でした。
 旧モンゴール領も、ミアイル王子の誕生で風向きが変わっています。
 クムさえ動かなければ、ゴーラ領に波風が立つ気配は僅少ですよ」

 トパーズ色の瞳が閃き、鋭い光を放った。
「ゴーラ王国の宰相としてだけではなく、カメロン殿にお願いしたい事がある。
 レントの海に其の名を馳せた提督の他に、頼める者がおらぬ。
 俺には手に余ると思われる故、誠に申し訳も無いが。
 厚意に甘え、お願いを聞き届けていただけぬだろうか」
 ヴァラキア海軍の英雄、カメロンの瞳が輝いた。

「何でも気兼ね無く言って下さい、我が友よ。
 グイン殿の出来ぬ事が、私に可能とは思えません
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