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豹頭王異伝
曙光
嵐を呼ぶ男
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クリと首を下げた。
 上級魔道師エルムは宇宙人を見る眼付きを巧みに隠し、淡々と報告を補足する。

「ゴーラ王妃と御子息は私、1級魔道師レインが交代で警護を仕ります。
 部下3名も伴い、カメロン様の御用を務めさせる様に手配致しました。
 下級魔道師カルチウス、サディスは陛下も御存知の或る家族を護送中。
 魔道師1名のみ、宰相の傍に待機しております」

「なるほど、適任だな。
 初めて子供を得た王妃も、彼等が傍らに居てくれれば安心だろう。
 カメロン殿の眼に狂いは無い、最高の人選だと思うぞ」
 豹の眼が光り、深々と頷いた。
 上級魔道師エルムは澱み無く、流暢に言葉を継ぐ。

「イシュタールに到着の直後、宰相の許に参上致しました。
 其の際、カメロン様も同様の事を仰られています。
 元ユディトー伯爵ユディウス・シンは、旧ユラニア領に精通する有能な実務家。
 グイン様の推薦で貴重な人材、最高の能吏を得られたと激賞されています」

「そんな細かい所まで、手を打っておったのか?
 全く隅に置けん、抜け目の無い豹じゃな!」
 眼球を真ん丸に見開き、驚く髑髏首。
 豹の牙が覗き、物騒な唸り声が洩れた。
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