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豹頭王異伝
曙光
精神治療
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「全く失礼な豹じゃ、愚弄する事は許さんぞ!
 木っ端魔道師なぞ、映つ価値も無いと思ったに過ぎぬ。
 グラチウス様の高度な遠隔視能力、鼻垂れ共に察知する術は無い。
 頭上の鷹に気付かず、チーチーが寝惚けておる様なものさ。

 偉大なる闇の司祭、グラチウス様の千里眼《クレアボワイヤンス》。
 遠隔視能力は強大な念動力の変形、時空間に特殊な波長の念波で干渉する秘術。
 正確無比な同調作用を施し、次元間の透視を可能とする神技であるのじゃ。
 パロの魔道師風情では闇の司祭、グラチウス様の念波を感知する事も叶わぬ。
 ましてや遠隔視の術を察知する等、到底無理と言うものよ」

「付き合いきれん、本当に面倒な奴だ。
 一言事に、己を褒め称えるのは何とかならんのか。
 まるで、加賀四郎の様だ」
「何か、言ったか?」
「そこは突っ込まんで良い所だ、聞き流せ。
 ナリス殿の派遣した魔道師が、其処に居るのであれば話がしたい。
 以前セム族の長、ロトー臨終の一部始終を看取らせて貰った。
 ラゴンの勇者ドードーとも言葉を交わしたが、同じ事が出来るか?」

「如何にも、可能であるがな。
 ひとつ約束をしてくれたら、何ザンでも話をさせてやるよ。
 『お前に従おう』等の馬鹿な事を言え、と要求する心算は毛頭無い。
 わしと手を組め、とも言わぬ。

 魔王子と名乗る怪物、アモンを退治てくれ。
 その為なら幾らでも、わしの力を貸してやる。
 あれは、とんでもない玉だ。
 わしのみでは、ちとしんどいな。
 王が己の力を使いこなしておれば兎も角、現在只今の危なっかしい状態では心許無い。

 イェライシャの阿呆も、キタイに飛んでおる。
 ヴァレリウス程度の魔力では、どうにもならぬ。
 アルド・ナリスが万一、アモンに喰われでもしたら何が起こるかわからん。
 調整者の存在を嗅ぎ当てた想像力、直感には儂も一目置いておるでな。
 現世に介入する気の無い大導師アグリッパですらも、名前を知っとる位じゃ。
 あの天才的な頭脳を悪用されたら、とんでもない事になりかねん。

 魔を斬る力を秘めし剣にて深傷を負わせ、多少の猶予を得たは勿怪の幸いであった。
 彼奴が痛手から回復する前に、何が何でも始末せねばならんのだよ。
 折角、射し初めた希望の光が、今度こそ、掻き消されてしまう。
 残念だが、楽しんでおる暇は無い。
 無駄口は叩かぬ、是非とも協力してくれ。
 な、王よ、悪い話ではなかろう?」

「無駄口を叩かぬだと?
 何処がだ、この、お喋り魔めが。
 まあ八百数十年も生きておれば、1度位は、まともな事も口にするのだな。
 アモンを退治る事は或る意味、総てに優先する。
 俺も彼奴は退治せねばならぬ、キタイの竜王を凌ぐ怪物とも感
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