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詩集「棘」
鈍色の憂鬱

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霞む夕月に 漂う想い
零す溜め息 遥か彼方
どこまでも広がり続け…

足元の見えぬ薄明かり
呼び声も虚しく
一人進めず夜となり…

鈍色の憂鬱に
搦め捕られて堕ちてゆく
愛し君は知らずに去りて
忍びし闇に耐え兼ねる


微かに香る君の匂い
誰か呼ぶ声 低く響き
藍の空へと消えてゆき…

黄昏が包む風景(セカイ)
腕に抱くものはなく
静寂の水底に沈み…

鈍色の憂鬱は
心の隙へと入り込む
幻(ユメ)が愛を見せたとしても
現の空は拭えまじ

鈍色の憂鬱は
果てることなき迷宮
君への想いに搦め捕られ
一人苦痛の内へ…

堕ちて逝く…




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