「タンポポの綿毛」
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1歳8ヶ月になった息子と公園に行った時のことだ。タンポポが首を伸ばし、今にも綿毛が飛んで行きそうなのを見つけた。タンポポを取って、「フ〜」っとやって見せると……
「あっ、ポッポッ!」
と、飛んで行く綿毛を指差していた。その瞬間、僕の記憶の扉が開くのだった。
◇◇◇
「ミズキ、綿毛がどこまで飛ぶか競争しようぜ!」
僕が小2の時だ。公園で遊んでいるとイケが言った。僕らは、滑り台の上からタンポポの綿毛飛ばし大会を始めた。
向きは全ての方角で、距離のみの戦いだ!僕は風向きを見て、綿毛を……
「フ〜」
っと、吹いた。 飛んで行く綿毛は風に乗った。着地するまで、イケと二人でじっくり待った。飛ばした綿毛の中で、一番遠くまで飛んだ綿毛の所に石を置いた。さて距離の測り方は……枝だった。長い枝を拾い、その長さ何個分かで距離を競ったのだった。
「いち、にい、さん、よん、4枝!……と、少し」
残りは指や手や腕の長さを使った。枝は50センチぐらいだったから……まずは、2メートルちょっとだ。
「じゃあ次イケね!」
イケが吹いた。綿毛は風に乗り……ベンチを乗り越えて地面に着地した。
「いち、にい、さん……」
そんなのを何回も繰り返していた。気づくと公園には小石が点在していた。小石の大体が2、3メートルに集中していて、時々5メートルや、ベンチを越えた10メートルぐらいがあった。ちなみに、10メートルは枝に換算して……20枝だ!
「じゃあ、僕の番ね!」
と、僕がフ〜っとやると、綿毛がフワフワと上に上がった。そのままドンドン上がり……
「あっ!」
と、思ったら。公園の柵を超え、隣の家の屋根を乗り越えて行ってしまったのだった。
「こりゃ、測定不能だあ!」
と、イケが言った。その言葉を合図に、僕たちは競争をやめて駄菓子屋に向かったのだった。
おしまい
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