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アテネとメデューサ
2部分:第二章
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第二章

 虹色に輝き程よく波うっておりそれがまるで虹の海のようである。それが腰にまで伸びており彼女の少女めいた美貌に拍車を加えていた。紅の唇も象牙の肌もエメラルドの瞳も。それすらもその虹の髪にはかなわなかったのだ。
 アテナはその姿を見て思わず言葉を失った。呆然とさえしていた。
「どうでしょうか」
 ここで梟が映像を消してアテナに尋ねてきた。
「メデューサ様は」
「そうね」
 その言葉に我に返って返事をする。
「確かに奇麗だわ」
 それは認めた。
「けれど」
「何か?」
「いえ、何でもないわ」
 それから先は言わなかった。この梟に何が欠けているかというと女の心というものを知らないことだろうか。アテナもまた女なのである。神であっても。そしてその感情は一筋ではないのだ。幾筋もが複雑に絡み合っている。そうしたものだということには気付きもしなかったのだ。
 それからどうもアテナはおかしくなった。メデューサを見てから彼女のことばかり思う。腹立たしくもあり。そして。それとはまた別の感情もあった。
「ねえ」 
 そんな中で梟に声をかけた。
「メデューサだけれど」
「はい」
「今何処にいるのかしら」
 彼女の居場所を問うた。
「何処とは」
「今何処にいるの。姿を見たのだから知っているでしょう?」
「言いませんでしたっけ」
「聞いてないわ」
 本当に聞いてない。だから尋ねているのだ。
「それで。何処なのかしら」
 そのうえであらためて問う。
「今彼女がいる場所は」
「レスボス島ですよ」
「あそこなのね」
 小アジアに浮かぶ小島である。ギリシアとは近い関係にある。
「はい、あちらに」
「わかったわ、それじゃあ」
 アテナはそれを聞くとすぐに立ち上がった。
「レスボスに行かれるのですか?」
「そうよ。ニケにお願い。留守番をね」
「はあ」
 梟は応えた。ニケとはアテナの従神であり勝利を司る。戦いの神でもあるアテナにとっては欠かせない従者である。
「じゃあすぐに戻るから」
「わかりました。では」
「貴方も来るのよ」
「えっ、私も」
 御供を言われてその丸い目をさらに丸くさせる。
「だって貴方が見てきたのでしょう?だからよ」
「あお、宜しいのですか?」
 恐る恐るアテナに尋ねる。
「私も御一緒して」 
 恐いのではない。期待しているのだ。またメデューサを間近に見られることに。それがまたアテナにとっては腹立たしいことであるが口に出すわけにはいかないのが重ね重ね辛い。
「だから来てって言ってるのよ。わかるかしら」
「わかりました、それでさ」
 そそくさとアテナの側にやって来る。
「すぐにも参りましょう」
「ええ、ではレスボスへ」
「はい」
 こうしてアテナは梟を連れてレスボス
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