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バード
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第一章

                        バード
 ある村ではだ。今非常に困ったことになっていた。
 その村の噂がだ。国の王都にまで届いていた。
「相変わらず暴れ回っているらしいぞ」
「ああ、あの巨大な化け物か」
「あれがなんだな」
「何でもな」
 酒場でも食堂でもだ。人が集まる場所は何処でもその村の話でもちきりだった。そうしてそのうえでそこに出る化け物の話もされるのだった。
「剣も弓も効かなくてな」
「魔法もか?」
「ああ、全然らしいな」
 こう話されるのだった。
「魔術師の魔法も僧侶の魔法もな」
「呪いを解くのもか」
「ああ、とにかく一切の攻撃が効かないらしいんだよ」
 その化け物の話だ。とにかく何も効かないのだという。
「それで村に出て来て家畜を襲ったり家を壊したりしてな」
「大変だな、そんな奴がいて」
「とにかくな。退治してくれる人を探してるそうだけれどな」
「何も効かないんじゃどうしようもないだろ」
「そうなんだよな。もう腕利きの戦士なり魔法使いなりが戦ったんだけれどな」
「駄目か」
「全然なんだな」
 これは今も話になっていることからすぐにわかることだった。言うまでもなかった。
「じゃあどうやって倒すんだ?」
「そんな奴な」
「一体どうやってだ」
「無理なんじゃないのか」
 こう言ってであった。そうしてだ。
 結果としてこんな結論まで出てしまっていた。
「もうその村は駄目だろ」
「ああ、倒せない化け物が出たんならな」
「どうしようもないよな」
「村を放棄して逃げるしかないな」
「残念だけれどな」
 こんな話になっていた。しかしである。
 ここで一人の男が出て来たのだった。
 それは白い見事な顎鬚を生やした初老のバードだった。身軽な、シーフが身に着ける皮鎧と腰には短剣がある。背中にはハープを背負っている。灰色の目をしており白い髪を後ろで束ねている。頭には白い羽根を飾った赤い帽子を被り赤い上着と白いズボンという井出たちである。そのバードが出て来て言うのである。
「いやいや、倒す方法がないモンスターはいませんぞ」
「えっ!?」
「あんた、バードだよな」
「確か名前は」
「ラディゲです」
 こう名乗るのだった。
「覚えておきなされ」
「ラディゲっていったら」
「確か」
「バードの世界じゃ名の知れた」
「そうだったよな」
「おや、御存知でしたか」
 彼は飄々とした様子で彼等の言葉に応える。
「私のことは」
「知ってるも何も有名人じゃないか」
「歌だけでなく魔法も戦いもできる」
「北の方で知らない者はいないだろ」
「左様ですか。私も有名なのですね」
 ラディゲはその言葉を受けてだ。にこにことして述べるのであった。
「いや、有
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