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魔法少女リリカルなのは 絆を奪いし神とその神に選ばれた少年
第十一話 現状維持
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になってもらいたいと思っている。例え、記憶を取り戻していなくともそれでも幸せになってもらいたいのだ。

それこそが全の心の中にある根源。その集大成ともいえるのが神……自身の母に願った特典の中の一つに見て取れる。

しかし、シンはそこからもう一歩進んだ考えをしている。

シンは、自身のマイスターである全にも幸せになってもらいたいのだ。

なぜならば全は自身の幸せの事など微塵にも気にしていない。むしろ、自分は幸せにはなれないと決め付けているのだ。

だからこそ、アリサ達の記憶が戻るわけがないと考えていた。

しかし、アリサ達の記憶は戻った。

シンの考えならこれで全は幸せを手に入れたいと思う筈だった。

しかし、シンの思惑は外れた。

全の考えはあまり変わらなかった。自身の幸せなどまだ二の次。まずは他人の笑顔が最優先。

そう考えを固定させてしまっているのだろう。

(どうやったらマイスターは考えを改めてくれるのだろうか……)

シンはいつでも自身のマイスターの事を考えている。

全は前世での経験でからか、何者にも期待しない。

期待を寄せれば寄せるだけ……その相手が不幸な目に合ってしまうからだ。

全の師匠もそうだった。全は師匠に全幅の信頼を寄せ。そんな師匠のようになりたいと思った。

しかし……世界はそれを許さなかった。

シンのデータ上に表示されたのは、とある集合写真。

真ん中にいる少年は前世の全。つまりは上条東馬だ。

東馬を囲むように笑顔があふれている前世の全の仲間。

そんな全の頭に手を置いて笑顔でいる女性。彼女が全の前世の師匠、緋村(ひむら) 麻子(あさこ)だ。

髪は名前とは違って青みがかった黒髪を後ろで纏めて、ポニーテールにしている。目元は鋭い。そして目を見張るのは身長だろう。

普通の女性よりも身長が高いのだ。180cmを超えている。

彼女はそれを少しコンプレックスに感じていたようだが。

しかし、そんな彼女はもう。

(……止めよう。こんな事、考えてはマイスターに失礼だ)

そう決めてシンはデータを元の場所に戻す。

蒸し返してはまた戻ってしまうかもしれないからだ。

師匠を()()()()()()()()あの時のように……。

あの…………













































人を殺しても、何も感じなくなり、仲間でさえも信じられなくなったあの時のように……。
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