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絵の馬
2部分:第二章
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第二章

「無理をさせれば大切な馬が」
「しかし弱った」
 同僚はそれを聞いて困った顔になった。
「これから王宮に行かないといけないのに」
「火急の用か?」
「そうだ。それなのに馬なしでは。どうしたものか」
「それでは私の馬を使え」
 クシャルーンは迷わずに述べてきた。
「私の馬は立派だ。だからこそ」
「あの馬をか」
 同僚はその提案を受けて声をあげた。彼の馬のことは既に知っている。名馬という言葉では済まされない程だ。そんな馬を貸してもらえると聞いて声をあげずにはいられなかったのだ。
「本当にいいのか?それで」
「勿論だ」
 武人らしい言葉であった。そこには何の迷いもない。
「だから。さあ」
「わかった。それではかたじけない」
 同僚は深々と彼に礼をした。そうして馬を借りてすぐに王宮に向かった。
 王宮での仕事は何の支障もなく終わった。時間も間に合った。だがその帰り道であった。
 ある屋敷の前まで来たところで。馬の様子が急におかしくなったのだ。
「何だ?どうしたんだ?」
 手綱を引いても言うことを聞かない。それどころか彼を乗せたまま屋敷にめがけて突っ込みだしたのだ。これは予想もつかないことであった。
「あっ、こら!」
 最早制止は不可能であった。屋敷の門をくぐりそのまま屋敷の中を駆ける。彼は馬上にいて何も出来ないままであった。そうしてある部屋の中まで来た。
 豪奢な部屋であった。あちこちに家具や装飾品がありそのどれもが奇麗に磨かれているか宝石で創られていた。午はその中にある壁にかけられた絵に突っ込むのである。
 絵には何も描かれていない。真っ白である。その真っ白な絵に馬は突っ込む。そうして。
 絵の中に消えてしまった。それっきりであった。後には部屋の中で呆然とへたり込む彼と慌てて部屋に入って来たその屋敷の者達だけがいるのであった。
 この話はすぐにクシャルーンの耳に入った。というよりは同僚がほうほうのていで戻って来て彼に話したのである。
「馬が絵にか」
「ああ、消えてしまった」
 まだ呆然としながらクシャルーンに語る。
「完全にな」
「そうか。道理でな」
 そう言われると納得するものがあった。だがそれは彼だけで同僚はとても納得できないものがあった。
「不思議に思わないのか?」
「何がだい?」
「いや、だからだ」
 平気な顔のクシャルーンに対して言う。
「馬が絵の中に消えたんだ。こんな不思議なことが」
「いや、それよりも前からずっと不思議だったから」
 それが彼の言い分であった。
「何も食べないし異常に速いし」
「ううむ。そうだったのか」
「それにしても。その馬が戻った屋敷だけれど」
 彼はそこが何処なのかといった方に関心があった。
「何処なんだい?」
「ああ、そこ
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