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ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
外伝・閑話
外伝・閑話3話 ディーネの憂鬱
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 こんにちは。ディーネ・ド・ドリュアスだ。私には前世の記憶持ちと言う、反則みたいな(ギル)が居る。おかげ様で頭では絶対に勝てない。姉の威厳を保つには、それ以外(主に戦闘能力)で勝つしかない。しかしギルは、戦闘力も折り紙つきなので、訓練の手を一切抜けないのだ。

 訓練に加え騎獣の世話や領軍への参加などで、以前からそれなりに忙しい日々を送っていたのだが、ギルが設立した劇団に興味を覚え暇を見て出入りしていた事で厄介な事になった。なんと、お父様から劇団の責任者を押し付けられてしまったのだ。

 劇団への出入りは楽しかった。元々お父さん(実父・私が生まれる前に亡くなった)が物語が好きだったそうで、お母さん(実母・故人)を通して多くの物語を聞いていた。その影響もあってか、私も物語が大好きだ。

 それでも、いきなり責任者は無いと思う。幸い差し入れを持って行く役を担っていたので、現場の人間との関係は良好だった。それでも引き継ぎには、かなり苦労させられた。こればかりは、お父様に恨み事を言っても許されると思う。

 最初の仕事は人材集めなのだが、ギルでさえ見つけられない人材も居るので、如何考えても簡単に行くはずが無いのだ。……そんな状況でも、王都の劇場等とは比べ物にならない人材と設備が揃い始めた。バックコーラスは相変わらず見つからないが、もう一つの問題は……そう、俳優だ。

「アア。アナタハナンデろみおナノ」

 この大根(だいこん)共が。芝居をする気があるのか? こんなんじゃ“ロミオとジュリエット”にならない。

 ロミオとジュリエット(シェイクスピアの代表作……らしい。私はよく知らないけど。他にも彼?の作品は幾つかお母さんから聞いている。台本に起こす作業が大変だった)は、敵対する貴族二家の抗争に巻き込まれた悲恋の物語なのだよ。こんな演技じゃ、悲劇じゃなくて喜劇になってしまう。

 私も勉強の為に王都の劇場に行った事はあるが、目の前の大根に毛が生えたような演技だった。だが、ギルとカトレア姉さまの演技を見た後だと、余りにも稚拙(ちせつ)すぎて泣きたくなってしまう。あの二人は天然の嘘憑き(演技派)なので、比べるのは流石に酷かもしれない。しかしそれを差し引いても酷い上に、歌唱力は無駄に良いので演技の悪さが余計に目立つ現状は看過できない。

 こうなったら、徹底的に演技指導するしかないな。全く手間ばかりかかる。

 一応台本(ストーリー)は、ロミオとジュリエットの他にもお母さんを通してお父さんから聞いた物が幾つかストックとしてある。とは言っても、台本をハルケギニア向けに改変する作業が、ひたすら大変ですぐに用意……と言う訳には行かない。なんとか書き上げたとしても、数を打てば当たると言う訳ではないのだ。それでも、人気の|台本《ストーリ
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