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とあるβテスター、奮闘する
つぐない
とあるβテスター、慟哭する
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サチの死。
あまりにも突然に、あまりにも残酷な形で訪れたその事件は、僕たちの心に消えることのない傷を刻み付けた。

気が付いたら、僕はいつも泊まっている宿屋のベッドで横になっていた。
あの後、ルシェとどうやって別れたのか。どうやって宿まで戻ったのか。部屋に戻った僕の顔を見て驚愕の表情を浮かべたシェイリに、何をどう説明したのか―――それら全ての記憶が、曖昧なものとなっていた。
ただ一つだけ、確かなことは。あの《生命の碑》に並んでいたサチの名前と、それを掻き消すように刻まれた横線は、夢でも幻覚でもなく、紛れもない現実なのだということ、それだけだった。

翌日。僕はこのゲームが始まって以来毎日行っていた攻略を、初めて休むこととなった。
昨晩、結局一睡もできなかった僕の顔は、よほど見るに堪えないものだったのだろう。ベッドに蹲る僕の顔をシェイリが心配そうに覗きこみ、今日の攻略は中止することを提案してきたのだった。
個人的な都合で攻略を休むのは、パーティを組んでくれている二人に申し訳ないと思うけれど、正直に言って、このまま攻略に向かったところでまともに戦える気がしない。それで足を引っ張ってしまっては本末転倒なので、ここはお言葉に甘えさせてもらうことにした。

「こんなにゆっくりするの、久しぶりだよね」
「……ん、そうかも」
ベッドに座る僕の隣に腰掛け、えへへと笑うシェイリに、僕も何とか笑顔を返す。
笑顔といっても形だけで、それも傍から見ればぎこちないものだったに違いない。だけどシェイリは、そんなことはまるで気にしていないというように、いつものふにゃりとした笑顔で応えてくれた。
恐らく彼女は、こちらの心境を察してくれているのだろう。この子は空気が読めていないように見えて、物事の本質や人の感情といったことに関しては人一倍聡いところがある。
僕も下手に気を遣った態度を取られるよりは、こうして普段通りに接してくれるほうが、少しは気分が紛れる。シェイリの心遣いが、今はただ有難かった。

「迷宮区で戦うのも楽しいけど、たまにはこういうのもいいよね〜」
「うん……、そうだね」
考えてみれば、こんな風に二人でゆっくりと過ごすのは随分と久しぶりだ。
元々僕は友達が少なかったし、シェイリはβテスターではなかったので、第1層が攻略されるまでの一ヶ月の間、僕たちはほとんどの時間を二人だけで過ごした。その間にしても、僕は攻略のことばかり考えていて、迷宮区に足を運ばない日はなかった。
こうやって二人で、本当の意味での休息を取ったのは、それこそゲームが始まったばかりの―――こんなことになるとは露知らず、“ゲームとして”SAOを楽しんでいた、あの頃以来じゃないだろうか。
最初は、それが当たり前だったのに。いつの間にか、僕には―――

「……、なんか、さ
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