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竜のもうひとつの瞳
第二十話
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 城下町を案内されている私は、いろんなところを見てはしゃいでいました。
奥州にいる頃もいろいろ遊べるような場はあったけれど、結局仕事が忙しくてゆっくり見物する暇も無かったから、
本当に心から楽しんでます。……って、そう考えたらなんか人生損してるような気がするよ。

 「どうだい、加賀も良いだろう」

 「本当!奥州とは違った楽しさがある!」

 所変われば食べ物の味付けも違うし、酒も美味しいし、珍しい物もいっぱい置いてあるし。本当、最高!

 でも、利家さんが裸族でなけりゃもっと最高なんだけどもなぁ……それは言っちゃいけないお約束って奴?

 「おや慶ちゃん、随分と可愛い子連れちまって。彼女かい?」

 そんな風に声をかけられて振り返ると、次から次へと町の人が同じように慶次に声をかけてくる。
慶次はそれに笑って

 「違うよ、城で働いてる侍女さ。加賀に来たばっかりだってから案内してるだけだよ」

 なんて答えていた。
いろんなところから声をかけられて歩いている慶次は、ちょっとしたアイドルみたいなもので、慶次の顔の広さに驚いたのは言うまでも無く。

 「慶さ〜ん、今度私とも一緒に歩いてねぇ〜」

 ……おいおい、本当に人気者じゃねぇか。何か隣にいるのが申し訳なくなってくるよ。

 「随分と人気があるんだね。すれ違う人に声かけられて」

 「ああ。皆気さくに話しかけてくれるからね。俺もここに来ると帰ってきた、って感じがするんだよな」

 何だか皆が慶次のこと受け入れてるって感じ。仲間……いや、家族って感じで見てるような気がする。

 何かそういうのもいいなぁ。城に篭りっぱなしで民との触れ合いとかほとんどないし。奥州でももうちょっとそういうことやりたかったなぁ……。

 ふと、茶屋の前が騒がしいことに気付いて私達はそちらに目を向けた。
見ればそこには男が気分が悪そうに片膝をついており、青い顔をして口元を押さえている。
女将さんと思われる人が心配そうに声を掛けているがあんまり反応が無い。
……というか、あの人何か見たことがある……じゃなくて知ってる人だよ。間違いなく。

 慶次に構わず裾が乱れないように駆け寄って確かめると、やっぱり思った通りの人だった。

 「小十郎! 大丈夫!?」

 「……姉上?」

 「どうしたの? 何か変なものでも食べたの? 毒でも盛られた?」

 その問いに小十郎が首を横に振って答える。茶屋の前でその状態なら、
ここで何かを食べてこの状態と考えるのが妥当なんだけども、どうもそうでもないようだ。

 「どうしたんだい、急に駆け出して……って、その人は?」

 「ああ、慶ちゃん……うちの店の前で急に気分が悪くなったみたいでねぇ」

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