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オズのベッツイ
第二幕その五
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「いないとね」
「そうよ、私がいるといないとでね」
 ガラスの猫が皆のところに来て言うことはといいますと。
「全然違うでしょ」
「確かにそうね」
 ナターシャは猫に微笑んで答えました。
「貴女がいる時といない時で全く違うわ」
「そうでしょ、この奇麗なガラスの身体の私がいないとね」
「貴女の場合は身体だけじゃなくてね」
「あら、もう一つあるの」
「性格もね」
 それもというのです。
「こうして傍にいてくれたら違うわ」
「性格が悪いとか言わないの?」
「それが猫の性格でしょ」
「猫のなのね」
「気まぐれで自分の意のままに動くけれど」
 こう書くと我儘です、しかしなのでした。
「その我儘さが可愛いのよ」
「そうなのね」
「それと仕草もね」
 こちらもだというのです。
「いいのよ、貴女は」
「仕草は普通の猫と変わらないわよ」
「だから、貴女が猫であってその性格と仕草もね」
「いいのね」
「猫であること自体がいいの」
 ガラスの猫である以前にというのです。
「既にね」
「不思議な言葉ね」
「あら、そうかしら」
「私にはそう聞こえるわ」
 猫はナターシャの目を見ながら右の前足をちょいちょいろ動かしながら彼女に答えます。
「私が猫であること自体がいいっていうのは」
「ガラスの身体は確かに奇麗だけれど」
「それ以前になのね」
「猫であること自体がいいのよ」
 非常に、というのです。
「貴女はね」
「そうなのね」
「私貴女のことが好きよ」
「猫が?」
「猫が好きだけれどその中の貴女もよ」
 ガラスの猫である彼女を、というのです。
「大好きよ」
「そう言われると嬉しいわ」
「そうでしょ」
「そしてその私がいるといないのでは、というのね」
「全く違うわ」
「猫は何もしてくれないけれど」
 ベッツイもガラスの猫に言います。
「沢山のものを与えてくれるのよ」
「何もしないのに?」
「そう、貴女にしてもね」
 そのガラスの猫もというのです。
「何もしてくれないけれど」
「与えてるのね、私は」
「猫自体がね」
「また不思議な話ね、けれどその沢山のものをあげてね」
 そしてとです、猫は今度はベッツイのお顔を見て言うのでした。
「それで皆を幸せにしているのなら」
「貴女も嬉しいわよね」
「他の誰かを幸せにして嬉しくない生きものはそうはいないわ」
 確かに例外の人はいてもです、例えば昔のノーム王の様な人はです。
「私は幸せに感じる方よ」
「そうでしょ、だったらね」
「私がいることがなのね」
「それ自体がいいのよ」
「だから私がいるといないのとで違うのね」
「貴女を、猫を見ていると自然と和んで癒されて」
 ベッツイは猫の頭を撫でました、ガラスのその頭に体毛は
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