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フェアリーアイズ
5部分:第五章
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第五章

「それなのね」
「まあとにかく心当たりあるんだな」
「アイルランド人ならね」
 当然のことだとだ。エリザはケット=シーに返す。
「それも当然よ」
「そうなのか」
「そうよ。それでよ」
 妖精達にだ。さらに問うのだった。
「それは何時何処でやるのよ」
「ああ、それな」
「実はな」
 ここでだ。小さな羽根の生えた妖精達が言う。所謂フェアリー達である。
「ベーカー街の白いカーテンに青い扉のビルのな」
「そこの一階か?」
「二階だったぜ」
「そう、ホームズのいる場所の二階ね」
 ベーカー街といえばホームズだ。エリザもそれで頭の中に入れていた。何はともあれこれで場所はわかった。
 それでだった。エリザは妖精達にさらに尋ねた。
「じゃあそこに潜り込んで色々聞いてくれる?」
「で、そこで聞いたことをどうするんだい?」
「それで」
「決まってるじゃない。それをスコットランドヤードに連絡して」
 推理小説の常連の組織が出て来た。そのシャーロック=ホームズと並ぶ推理小説の花形だ。その彼等に連絡をしてだというのだ。
「事件を未然に防ぐのよ」
「イギリスが嫌いじゃないのか?」
「それとテロは別よ」
 そのことはちゃんとわきまえているエリザだった。それでだった。
 すぐにだ。妖精達にそこに向かってもらってだ。行動計画やテロリスト達の個人情報まで全て仕入れてもらいそれをだ。スコットランドヤードに通報したのである。
 そのテロリスト達の中にスコットランドヤードが最初からマークしている人物がいてだ。話はスムーズに進んだ。それによってである。
 事件は解決された。無事だ。
 だがエリザは情報を提供しただけで全ては非公式ということになった。それでだった。
 妖精達にだ。こう言ったのだった。
「貴方達のお陰よ」
「それで爆弾が爆発することはなくなった」
「だからいいんだね」
「そうなんだね」
「そうよ。本当に何よりよ」
 こうだ。エリザは笑って彼等に話す。
「貴方達のね」
「そうなんだ。自分の手柄じゃない」
「そうなんだね」
「そうよ。私は貴方達から話を聞いただけだから」
 だからだとだ。エリザは言うのである。
「それだけだからよ」
「無欲だね。何か」
「だよね。ここで自分の手柄にして大威張りする人間もいるのに」
「そういうこと全然しないなんて」
「いいことだよ」
「まあ。昔から欲はないから」
 エリザはそうした人間だった。無欲で実際のところビールが飲めれば幸せな。素朴で無欲なところのある女性なのである。
 だからだ。今妖精達にもこう言うのだった。
「だからね」
「ふうん、そうなんだ」
「それはいいことだけれどね」
「下手に欲の皮が突っ張ってるよりもいいよ」
「美徳ってい
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