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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン21 鉄砲水と愉快な奇術師
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 修学旅行も無事………無事?とにかく終わり、ほんの一時だけアカデミアに平和な時間が来た。といっても光の結社が消えたわけではない。これまでやっていた腕づく力づくでの勧誘とは名ばかりの洗脳が幾分穏やかになり、目に見えて強引なことはしなくなったというだけだ。そんなある日の午後、新しく作ってみた蒸しパンが蒸しあがるのを待つ間に彼女はやって来た。

「先輩、今少し時間ありますか?」
「あれ葵ちゃん。斎王様、のところで金魚のフンやってなくて大丈夫なの?」

 斎王様、の発音のポイントは一文字ずつ区切るように、なおかつたっぷりと嫌味を込めることです。光の結社ならほぼ9割がた今のでキレます。もっとも葵ちゃんはさすがにその辺の構成員とは格が違うのか、一瞬怒りに口元をゆがませながらもすぐに持ち直した。ちっ。

「………まあいいでしょう。今日は先輩に聞きたいことがあってきたんです。ついでにそこのショートケーキ買おうかとも思ったんですが、急に買う気がなくなりました」
「ごめんなさい訂正しますから許してください」
「私が言うのもなんですが、もうちょっとプライド大事にしたらどうですか?」
「そうは言ってもねー、現ナマって大事よ?」
「なんでそんなまっすぐな目なんですか。らちがあきませんね、本題に入らせてもらいますよ?今朝、行方不明だった鮫島校長を見つけたそうですがそこのところ詳しく教えてください」

 なんだ、という気持ちが顔に出ていたのか、怪訝な顔をする葵ちゃん。でも、僕の気持ちだって少しは考えてほしい。投網を担いで海に行ったら海岸に倒れてる校長がいたので慌てて保健室に担ぎ込んだ、その程度の話を一日中出会う人全員にする羽目になっている僕の気持ちを。

「………ってわけで、別に特別なことなんて何もないんだけど」
「どこの世界に校長が海から流れ着くのが普通な学校がありますか。なんか先輩、しばらく見ないうちに図太くなってません?」
「どの口がそんなことを。初めて会った時はあんなにしおらしかったのに」
「そういうこと平気で言っちゃうのが図太いって言ってんですよ」
「むー」

 一瞬切り返したと思ったら、間髪入れず切り返された。残念ながら口では葵ちゃんに勝てない。

「まあ話戻すけど、本当に特に言うことなんてないんだって」
「んー……みたいですね。先輩嘘つくの下手ですし、なにかおかしなところがあればあっさりばらすと思ったんですけど。じゃ、この辺で私は帰りますね。先輩もいつか斎王様の素晴らしさがわかるといいんですけど」

 言いたいだけ言ってさっさと帰ってしまった。結局何一つ買ってかなかったし。

『全校生徒の皆さん、校長の鮫島です。これから大事な発表がありますので、講堂に集合してください』

 噂をすれば何とやら、か。それにしても校長
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