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偽の高潔
第四章
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「あいつはその連中と関係あるというかズブズブなんだよ」
「過激派となの」
「平和についてもそうだよ」
「そっちもなのね」
「もっと言えば女性の権利やら慰安婦もだよ」 
 そうしたこともというのだ。
「大抵過激派が関わっていてな」
「それでなのね」
「ああ、しかもな」
 それに加えてとだ、牧野は妻にさらに話した。
「活動資金やら義援金やら募るな」
「そうした活動の」
「慰安婦の為とか言ってな」
「まさかと思うけれど」
「そのまさかだよ」
 牧野は嫌悪感を露わにさせて美和子に話した。
「その義援金とかを自分の懐に入れたり組織の活動資金に入れたりしているんだよ」
「それはもうね」
「詐欺だろ」
「どう考えてもね」
「詐欺ってのは確かな証拠じゃないとな」
 それこそというのだ。
「捕まえられないけれどな」
「それでもなのね」
「あいつはそれだ」
 詐欺師の類だというのだ。
「本当にな」
「本当にとんでもない人ね」
「あと洒落にならない国がな」
 牧野の顔がさらに顰めらさせられての言葉だった。
「関わってるみたいだな」
「あの人に」
「活動資金は他にも出てるな」
 義援金や援助金以外にというのだ。
「どうやらな」
「その資金の出処が」
「ああ、その国みたいだな」
「まさかと思うけれど」
「そうだよ、あいつあの拉致は捏造だとか言ってるがな」
 その国は日本人を拉致していると言われてきている、そしてその被害者の家族達が必死にそのことを訴えてきているのだ。
 しかしだ、その拉致と家族の訴えに対してだ。福嶌はなのだ。
「あれはな」
「拉致はね」
「してると思うな」
「ええ、私もね」
 確かな声でだ、美和子も夫に答える。
「そう思うわ」
「大抵の奴がそう思ってるだろ」
「証拠もね」
「かなり怪しいのが揃ってるからな」
 確証に近いまでにというのだ。
「だからな」
「普通はそう思うところを」
「そんなことを言うんだ」
 ない、その様にだ。
「それだけでも怪しいしな」
「しかもよね」
「過激派はな」
 その彼等もというのだ。
「あの国と関係あるからな」
「あの国に亡命した人達もいたしね」
「ハイジャックまでしてな」
「そうしたことも見ると」
「ああ、あいつはな」
 福嶌、彼女はというのだ。
「とんでもない奴だ」
「やっぱりそうなのね」
「調べれば調べる程な」
 刑事としてそうしなくてもだ、本やネットで表のことからだけ調べてもというのだ。
「それだけでもな」
「とんでもない人なのね」
「真っ黒だ」
「真っ黒なのね」
「紛れもなくな」
 そうだとだ、妻に話すのだった。そして。
 そのうえでだ、彼は美和子にこうも言った。
「だからな」

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