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『ある転生者の奮闘記』
TURN21
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しとかないとな」

「視線頑張ってね」

「……五分で潰れそうです」

 さっきも五分で無理やったからなぁ……東郷長官と会うの止めて摩耶に行こかな。

 それから茂と分かれて海軍省に戻った。




――長官室――

「狹霧、此度の騒動は真に済まなかったな」

「いえ、もうええですよ。他の奴等から変な目で見られてるのは慣れました」

 海軍省に入るとすれ違う奴等からこそこそと話し声が聞こえてたり遠くから見られていたりしていた。

「ハッハッハ。それは違うぞ狹霧」

「は?」

「皆、対馬会戦での結果を知っているからお前の事は有名人になっているぞ」

「……あぁ」

 ……漸く合点がいったな。

「多くの奴等が遠くから見てましたけどね」

 あんな視線を感じたら人間不信になりそうです。

「それで狹霧の職だが……南遣方面艦隊司令長官をしてほしい」

「……いや断ります。自分は第四戦隊司令官でいいんで……」

「そうも言っていられないんですよ狹霧中将」

 横から秋山参謀が口を挟んだ。それよりも……。

「中将って……」

「これは御前会議でも決まっています。本日付けで狹霧大佐は三階級特進をして海軍中将となりました」

「……三階級特進……戦死の二階級特進より凄いすねぇ」

「他人事ではないですよ狹霧中将」

 秋山参謀が溜め息を吐いた。

「艦隊は新たに占領したアラビア星域にて待機している」

「ですが……」

「自分より他の奴が優秀……か。残念だが狹霧と同期の奴は殆んどが提督や戦隊司令官をしている。もうそろそろ君を上に上げてもいいはずだ」

 東郷長官はそう言った。

 ……はぁ、しゃーない……か。

「……分かりました。南遣方面艦隊司令長官の任務、やらしてもらいます」

 俺は東郷長官に敬礼をする。

「そうか。頼んだぞ」

 東郷長官はホッとしたように言う。

「第四戦隊は横須賀にて待機しています」

「了解です」

 俺はもう一度東郷長官と秋山参謀に敬礼をして長官室を出た。



「……漸く引き受けてくれたようだな」

「はい。狹霧中将がアラビア方面で押さえてくれればUSJ星域での作戦もやり易くなります」

 秋山参謀は肩の荷が降りたように言う。

「樋口元提督がいらぬ事をしなければもっと早くに出来たのですが……」

「いや……それでも狹霧は固辞するだろうな。あいつは自分を過少評価している傾向がある」

「はぁ、それは自分も分かります」

「何故あいつはそこまで自分を過少評価しているかは知らんがあいつの評価はかなりある」

 東郷長官はそう言って引き出しを開けた。


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