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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第四十八話 乱戦の中の秘策
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わたしに向けて放たれた。

 瞬間、カッと目を開き、空中で態勢を立て直す。
 直下を指差した。それを合図に強風が吹き、雲を払った。
 雲から現れるのは、乱戦の中で発生させた雲に隠した、〈クルスニクの槍〉。それに着地した。

「しま…っ」

 今さら気づいても、遅い。

 ――いくら〈妖精〉でも、力の源になる精霊がミラに全部味方してるんじゃ、〈槍〉を壊せるくらい強い精霊術は使えない。

 だから、それができるミラが〈槍〉を壊すように仕向ける。

 ミラ自身の最大出力の攻撃が〈クルスニクの槍〉に着弾し、〈クルスニクの槍〉は四散した。
 〈槍〉の砲身に着地したのと、4属性の大きなレーザーが砲身に着弾するタイミングはぴったり重なった。

 バリアは張っといたけど衝撃までは殺しきれなかった。
 吹き飛ばされる。このまま変な落ち方したら、さすがにフェイでも死んじゃうかも――

 しゅたっ

 誰かがフェイを抱きかかえて着地した。

「ユティ、ちゃん」
「オツカレ、フェイ姉。見て」

 見上げる。〈クルスニクの槍〉が壊れて、マクスウェルは解放されてた。

 ユティちゃんは着地するなり骸殻を解いて、ミスリルクローク姿に戻った。

 ごめんね、もうちょっとの間だけ支えてて?
 ユティちゃんと二人、浮かび上がったマクスウェルに近づいて、前に立った。

「あなたがどうしてミラとミュゼを造ったか。ううん、どうして〈ミラ〉と〈ミュゼ〉の形にしたか分かったよ。おじーちゃん」

 会ってはないけど。知ったから。分史世界で。()()()()()のコト。正確にはミラのモデルになった人。マクスウェルにとってトクベツなヒトだったから、ママでいいとフェイは思ってる。

「――別れたママに似てるからってヒーキはダメだよ。おじーちゃんはミラとミュゼ両方のパパなんだから。片方しか大事にしないなんて、悲しいよ」

 わたし、知ってる。パパがお姉ちゃんだけを可愛がってた頃。いつも寒くて、いつも暗くて。
 いつも、お姉ちゃんに甘えて泣いてた。
 そうすればお姉ちゃんだってパパがワルイって言ってくれるかもった思ったから。
 パパに笑ってもらえるお姉ちゃんをニクイと思ったことだってある。
 そんなイヤな自分になっちゃうんだ。

『2000年を経ても、かの者は私を叱るのだな。……これもまた運命ということか』

 そうよ。運命だったの、きっと。
 今なら分かるかも。わたしが、フェイリオ・メル・マータが産まれてきた、意味。
 パパに憎まれて、お姉ちゃんみたいに愛してもらえなかった小さな頃を過ごしたわたしだから、実感をこめて言えるの。
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