暁 〜小説投稿サイト〜
世界はもっと下らなくて馬鹿げていて阿呆らしく、簡単に言えば幸せであるべきだ
世界はもっと下らなくて馬鹿げていて阿呆らしく、簡単に言えば幸せであるべきだ
前書き
[1]
後書き
ある舞踏会で青年と少年は出逢い恋に落ちた。
しかし二人の家は長い間敵対関係にあり、例えそうでなくとも二人は男同士。
「土方さんは何で土方さんなんですかィ? 頼むから死んでくれよ三百円あげるから」
「お前は何でそんなに馬鹿なんだ。お前が死ね沖田」
それは、決して叶わぬ恋だった。
それを哀れんだお人好しの神父によって秘密の結婚式を執り行い、二人は密かに夫婦となりささやかな幸せを手に入れたかに見えた。
だがその幸せも長くは続かなかった。少年は些細な事からトラブルを起こしてしまい、街から追放されてしまった。
嘆き悲しんだ青年を慰めようと貴族のお嬢様との見合い話を持ちかけるが青年はそれを激しく拒む。
言う事を聞かない彼に腹を立てた両親に勘当を言い渡され、青年は神父に相談してある計画を伝えられ実行に移した。
青年は仮死の薬を飲み、死人として霊廟に葬られて深い眠りの中で少年の到着を待った。
――しかし、神父の計画は完璧ではなかった。
やがて少年は青年の元に辿り着く。
「土方さん……!」
少年は真っ青な顔をして青年に駆け寄った。手をとりその冷たさに驚く。
「何勝手に死んでやがんでィ。俺の手で殺せなきゃ意味がねェのに」
少年は、短剣を取り出すとありったけの想いを込めて青年の胸を突き刺した。
例え死因を塗り替えられなくとも、せめて最期に受けた傷が自分の手によるものであるように――。
「来世で逢いましょう。今度は平和な時代に逢えるといいですねィ」
弱々しく冷たい血を流す青年の身体を強く抱き締め、今度は自分の胸に短剣を突き刺した。
世界はもっと下らなくて馬鹿げていて阿呆らしく、簡単に言えば幸せであるべきだ
「……っていう夢をついさっき見たんでさァ」
「それただのロミオとジュリエットの紛いモンじゃねーか! 何だその歪んだ結末! 話を勝手に改変してんじゃねェェェつーか今勤務中だから!! 寝る時間じゃねーから仕事しろ!!」
「思ったんでさァ。やっぱ俺とアンタのラブストーリーはハッピーエンドしか認めらんねェ。ロミジュリなんざどう足掻いてもバッドエンドじゃねーか」
「話聞いてた? つーかサラッと恥ずかしい事言ってんじゃねーよ、何だ俺とお前のラブストーリーって」
「現在進行形で進んでんだろィとうとうボケたか土方コノヤロー」
「ボケてねーよ」
タイトル提供:ねぇ、ママ
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