神風と流星
Chapter2:龍の帰還
Data.20 《体術》
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!猫みたい!」
「お前もな」
さて、じゃれあっている場合でもないような気がするのでさっさとこのクエストを終わらせよう。と、俺が岩に近づくとシズクが遮る。
「ちょっと待ったルリくん。あたしが先にやる」
「別にいいが……大丈夫か?」
この『大丈夫か』は、攻略法をきちんと分かっているのかという意味だったのだが、自信満々な顔を見る限り大丈夫だろう。ダメだったら思いきり笑ってやるが。
「そんじゃ、お先にどうぞ」
「ありがと」
それだけ言ってシズクは岩に近づき、岩に耳を当ててコンコンと軽く叩く。
もちろん、それだけで割れるはずはない。俺の見立てではあの岩は破壊不能オブジェクト寸前くらいの耐久度がある。
しかしシズクはなおも軽く岩を叩く。色々な方向から、色々な角度で。
「……ルー坊、シーちゃんは何をやっているんダ?」
いつの間にか近づいてきていたアルゴが問う。
「見てれば分かるさ」
アルゴは不思議そうな顔をしていたが、それでも素直に従ってシズクの動向を観察し始めた。
やがてシズクは叩くのをやめて、数秒考え込んだかと思うと、少し歩いて位置を修正し――――
「せいやっ!」
一閃。全身の力と体重を込めた渾身の正拳突きをを炸裂させる。
すると大岩は拳が当たったところから徐々にひび割れていき……砕けた。
「……」
呆けた顔をしているアルゴに、俺は軽く説明してやる。
「SAOのオブジェクトは現実に近づけるためにかなりリアルに設定されているのは知ってるよな?」
「あ、あア……」
「で、現実の鉱物……つーか物体は大体どこかに構造的に脆い部分を持ってるんだよ。だからそこにちょっと大きな衝撃を加えてやれば……」
「ああいう風に割れるってわけカ。なるほど、じゃあシーちゃんさっき岩を叩いていたのはそれを探すためだったんだナ」
「そういうことだ。第一、こんなエクストラスキルが報酬とはいえ、こんな低階層のクエストであんな岩を正攻法で割らせるわけないだろ」
いくらなんでも鬼畜過ぎる。ゲームバランスが完全におかしい。
「……それもそうだナー」
あっはっはと笑うアルゴ。キリトといい、こいつといい、もう少し頭を捻れよ。何事もまずは疑ってかかることが大切だ。
そんなことを話していると、とてて、とシズクが戻ってくる。
「ただまー!」
「おかえり。んじゃ、次は俺か」
俺はさっきのシズクと同じ手段で岩を粉砕し、俺達は見事クエストをクリアして《体術》を手に入れたのだった。
ちなみに顔を落書きを消すときに用いられたのは師匠が道着から取り出したボロ布だったため、クエスト本来とは関係
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