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ワールド・プレディート〜クロスクエスト〜
ワールド・プレディート
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ーニャが語りかけ、優しくその頬を撫でる。すると彼はまるで毒気が抜けたかのようにふっ、とおとなしくなり、その場に膝をついた。

「……単刀直入に言おう。今この世界は、在る存在の支配下に置かれている。時間停止の太極が流れだし、このままではこの世界は永劫安らかに眠るだけのモノと成り果てるだろう。
 僕では《彼女》に勝てない。ハリン君。どうにかして、止めてはくれまいか」
「そ、そんな……貴方が勝てないのに、僕に勝てるわけがない!」

 SAOのハリンのステータスは高かったが、リアルの衿希頗臨はただの人間でしかないのだ。アスリウのような神をも超える存在が敗北するような相手に、どうやって抗えと言う。

 しかしアスリウは微笑むと、

「いや、キミにはできる。半神たるこの僕ではなく、人であるキミだからこそ、《神》である《彼女》に勝ちうる。《銀の司祭》の設定を知る一介の読者として、それを断言しよう」

 逃げ場を奪ってきた。

「こちらも全力でキミを補助しよう……今キミにかけているのはアーニャの【法】……『絶勝世界』だ。今、キミはアーニャの望むままに、僕と会話を成立させるためにこの世界の【法】から逃れて動くことができている。
 しかし僕のアーニャの太極は『内側に閉じている』。《彼女》のそれは『外側に開いている』故に、アーニャのそれでは支配から逃れられるだけだ。
 どうにかして《彼女》の太極を『閉じる』んだ。【法】をもたず、侵蝕しかできない僕では世界を喰うことができない。あくまで僕の『ワールド・プレディート』は領地を作成して自分に有利にできるだけだからね。
 だがキミは別だ」

 目くるめく未知のワードたちをどうにかして頭に叩き込みながら、頗臨はアスリウの次の言葉を待つ。

「キミはこの世界の元の【法】を所持している。今や『旧世界』となってしまった元の時間軸(モノガタリ)の住人はキミだけだ。アーニャの太極は今君を包み込んでいるだけだから、根本が変わっているわけではないだろう…【法】が内部に浸透したら、君はアーニャと似たような性格になるはずだからね…ならばキミは元の太極をいまだその身に宿しているわけだ。
 《彼女》の太極を揺らがせるんだ。そうすれば、世界権限(モノガタリ)的に上位である『旧世界』の【法】が彼女をかき消す。キミの勝ちだ」
「その、『太極を揺らがす』というのはどのようにして行うのですか……?」
「単純だ……戦って、勝てばいい。あるいは、一ダメージでも与えてしまえば、《彼女》の性質上瓦解する。唯そのたった一ダメージが、全く与えられないだけであって」

 ――――それって『詰み』じゃないか。

 頗臨が内心でそうぼやくのとほぼ同時に、心を読んだかのようにアスリウが答える。

「否、否。見た感じ、時間を掛けれ
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