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魔法少女リリカルなのは ―全てを変えることができるなら―
第八話
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い、強くなることだけに固執することはなかった。

 そしてきっと、朝我の注意を聞いていただろう。

 こうして終わってみて、冷静になってみて、ティアナは朝我の言っていた言葉の意味の一つ一つを理解していく。

(全部、朝我が全部正しかったってことなのよね。
そして朝我は最初から、こうなることを分かっていた……)

 だから何度もしつこく、嫌われても、対立しても、ぶつかり合いになっても、彼はティアナを止めようとしてくれた。

 そんな彼を、ティアナは傷つけた。

(アタシの馬鹿馬鹿ッ!!
スバルを馬鹿にできる立場じゃないわよ、全く!)

 心の中で自分自身に説教をするティアナ。

 今、目の前に壁があれば頭突きをしていただろうと思いながら、ティアナは何度も自分を叱咤した。

(はぁ……これ、起きたら真っ先に謝らないといけないわね……)

 訓練校時代から、ティアナはスバルと朝我に謝るような失敗をあまりしてこなかった。

 したとしてもほんの些細なミスで、ちょっとごめんと言えば二人は笑顔で大丈夫と返してくれるような、そんな程度の問題だった。

 だが、今回の問題は土下座をしないといけないとティアナは感じた。

 根が真面目なのもあるが、今回は流石に彼に迷惑をかけすぎたと自覚したのだ。

(朝我……許してくれるかしら)

 先ほど述べたように、ティアナは朝我と大きな対立をしたことはない。

 あっても目玉焼きに醤油とソース、どっちをかけるかみたいな程度が低く、本人にとって重要な問題くらいである。

 その上、時間が経てばお互いコロッと忘れてしまうようなことばかりだった。

 つまり、今回のようなことで謝罪して、彼がどういう返しをしてくるかわからないのだ。

(まぁ朝我って根は優しいし、ちゃんと謝れば許してくれる……………………………………か、な?)

 夢の中にも関わらず、全身から大量の汗が溢れ出てくる感じがした。

 血の気は引き、身体を嫌な温度差が襲う。

(もし許してもらえなかったらどうしよう……スバルは大丈夫よ、これくらい。
でも、朝我は違う。
アタシ、これでもかってくらい迷惑かけたし、口悪くしちゃったし、会っても無視しちゃったし……)

 後悔先に立たず、とは言ったもので、後になって自分の今までしでかしたことを思い返すと、悔いがこれでもかと言っていいほど浮かび上がってきた。

 それを全て許してくれる、なんて自信は流石になかった。

 そこまで自惚れてはいないし、自惚れるわけにはいかなかった。

 これでずっと嫌われたままになるのは、訓練校時代から培ってきた様々な思い出を、想いを、無にするような気がした。

(朝我に嫌われるなんて……イヤよ)
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