暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
空白期 中学編 09 「紫炎の剣」
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
たのが、目の前にいる彼女――シュテルだ。

『あなたは自分を何だと思っているのですか』

 この言葉は忘れもしない。
 シュテルは出会った頃から言動はともかく、表情に感情を出すのは少ない少女だ。だがこのときの彼女の瞳は鋭かった。そこには静かな怒りの炎を宿っていたのは、今でもはっきり覚えている。
 ――忘れられるはずもないよな……思いっきり頬を叩かれたんだから。
 今までのシュテルとのやりとりを思い返してみても、あのときほど呆気に取られたことはない。叩かれた直後は自分の身に何が起こったのかすら分からなかったのだから。いや、記憶に残ったのはこれだけで理由ではない。

『あなたは天才ではない』
『そんなの……言われなくても分かってる! だから……!』
『なら、あなたが彼女と同等の人々を救う力を得るには長い時間が掛かることも分かっているはずです。今のようにがむしゃらに訓練したところで、近いうちに怪我をするのがオチ……下手をすれば命だって落としかねません。あなたは……自分の大切な人達を傷つけたいのですか?』

 シュテルの言葉は、残酷なまでに俺の心を切り刻み反論する余地さえ与えてくれなかった。それでも、このときの俺の心は鵜呑みにすることを良しとせず、何かしら言おうと口を開こうとしていた。

『はっきり言っておきます、あなたは弱いです。魔導師としての才能も彼女と比べれば凡人に等しい』
『っ……』
『……しかし、あなたは天才相手だろうと一方的に負けるどころか、勝てる実力を身に着けた。それは自分の才能を理解し、一般の人間とは違う道を歩んできたからでしょう?』

 それまでの冷たい炎が消え、静かに夜を照らす月のような微笑みをシュテルは浮かべた。彼女の穏やかな優しさが浸透し、荒ぶっていた心を落ち着けてくれたことを覚えている。

『あなたの良いところは、客観的に物事を見れる冷静さと必要と思えば何にでも挑戦しようとする向上心です。自分ひとりの限界が分かっているからこそ、あなたは剣術や体術、あらゆる魔法を人に教わってきたのでしょう?』

 そのとおりだ。
 シグナムとの剣術の訓練を行っているのも、アルフ達から体術や補助系統の魔法を教わってきたのも、自分だけでは限界がある。少しでも強くなるには教えを乞う必要があると思ったからだ。

『そこに秘められた大切なものを守りたいという気持ちは私も理解できます。ですが、あなたにできる戦いは、魔導師としての強さを向上させることだけではないはずです』
『魔導師以外の……戦い?』
『はい、あなたはデバイスマイスターを目指しているのでしょう? ならば技術者としての戦いだってできるはずです。より良いデバイスやシステムを作ることが出来れば、それは必然的に人々を守ることに繋がります』

 きっとシュテ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ