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嵐神の炎
5部分:第五章
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「それはどうでしょうか」
 これがヴォータンへの言葉だった。
「如何でしょうか」
「それはいい」
「いいのですか」
「そうだ、いい」
 これがヴォータンの返答だった。
「構わない」
「そうなのですか、本当に」
「それが運命なのだからな」
「既にノルン達の糸は切れています」
「神々の運命が決まったということだな」
「はい」
 ローゲはまたヴォータンに答えた。
「そういうことになります」
「では私はだ」
 ヴォータンは話すのだった。
「その運命の中に消える」
「そうされるのですね」
「そうだ、そしてだ」
「そしてですか」
「御前は炎に戻るのだ」
 ローゲに対しても話した。
「そうするのだ」
「そして人間達を見守る」
「そうするのが御前の運命だからな」
「それに従えと」
「そういうことだ。いいな」
 ローゲに対して告げた。
「ではだ」
「私の役目を果たせと」
「そうするのだ。今からな」
「わかりました」
 ローゲも遂にだ。ヴォータンの考えを受けた。
 そうしてそのうえでだ。炎の中に消えてだ。薪を燃やしヴァルハラを覆ってしまった。
 ヴォータンはその中に消えた。何一つ残らなかった。
 炎は彼もヴァルハラも焼き尽くしたうえで何処かに消えた。そしてそのうえでだ。人の傍にいるのだった。それは今も変わることがない。


雷神の炎   完


               2010・10・27

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